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No.275(2026/07/31):【LPS公正価値②】【基礎】公正価値(時価)の考え方――時価の算定に関する会計基準(企業会計基準第30号)

7月31日
読了時間: 4分

こんにちは


大門綜合会計事務所スタッフです。



毎週金曜日、会計・財務、税務、監査、内部統制関連の基礎・Tips等をお伝えしています。

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本シリーズ「LPS投資資産の公正価値評価」(全10回)の第2回です。今回は、【基礎】公正価値(時価)の考え方――時価の算定に関する会計基準(企業会計基準第30号)についてお伝えします。



公正価値とは何か。企業会計基準第30号「時価の算定に関する会計基準」は、時価(公正価値)を「算定日において、市場参加者間で秩序ある取引が行われると想定した場合に、資産の売却によって受け取る価格または負債の移転のために支払う価格」と定義しています。この定義で真っ先に押さえるべきは、時価が「出口価格(Exit Price)」だという点です。資産を取得したときの価格(入口価格)でも、保有者の主観的な見込みでもなく、「市場参加者がその資産を合理的に売買するとしたら、いくらで成立するか」という外部目線の価格が基本となります。


この出口価格の算定には、基準が示す3つのアプローチを使います。マーケット・アプローチは、同様の資産や類似企業の市場価格・取引事例を参照して価値を推定する方法です。代表例として、上場類似会社のEV/EBITDA倍率を対象企業に適用するマルチプル法があります。インカム・アプローチは、将来のキャッシュ・フローを現在価値に割り引くDCF法(ディスカウンテッド・キャッシュ・フロー法)が典型で、将来収益の予測と割引率の設定が評価の核心になります。コスト・アプローチは、資産を再調達するのに要するコストを基準に評価する方法で、純資産価値法がこれに当たります。実務では複数のアプローチを組み合わせて用いることが多く、選択と組み合わせの根拠を明確に説明できることが評価者に求められます。


次に理解しておきたいのが、「インプットの観察可能性」に基づく時価の階層(レベル1〜3)です。基準は「観察可能なインプットを最大限に利用し、観察不能なインプットの使用を最小化する」という考え方を基本に置いています。レベル1は、活発な市場で取引される同一資産の相場価格です。客観性が最も高く、上場株式の終値がその代表例です。レベル2は、レベル1以外の観察可能なインプットを用いるもので、類似資産の価格や市場金利・信用スプレッドなどが該当します。レベル3は、市場で観察できないインプット、すなわち評価者自身の将来予測や判断が中心となるケースです。


具体例で見てみましょう。あるLPSが「上場企業A社の株式」と「非上場スタートアップB社の株式」を保有していると仮定します。A社については算定日の終値1,500円(説明用の仮の数値)がそのまま時価となります(レベル1)。一方、B社には公開市場価格がありません。過去の投資簿価は1株1,000円(仮の数値)ですが、その後の業績成長や類似上場企業の評価倍率の変化を踏まえると、DCF法や類似会社比較法で算定した公正価値は1株1,800円になるかもしれません(あくまで説明のための仮の数値です)。このB社評価はレベル3に該当し、将来キャッシュ・フローの予測、割引率の水準、適用する倍率の選択など、観察不能な前提が多く含まれます。その分だけ評価プロセスの透明性と根拠の開示が厳しく問われることになります。


LPSが保有する投資先の多くは非上場企業であるため、レベル3評価が中心となることが一般的です。評価の客観性をどのように担保し、その合理性をどのように説明するか――ここがファンド会計・監査の実務における核心的な論点になります。次回は、LPS固有の会計の枠組みと、組合財産の評価がどのような規則に従うのかを整理します。時価の考え方という「ものさし」を手に入れた今、それをファンドという「現場」にあてはめていくフェーズに入ります。



自社ファンドの投資資産の公正価値評価(非上場株式の評価、優先株の配分、評価の文書化、監査対応)にご不安があれば、ファンド会計・バリュエーションに精通した公認会計士にご相談いただくのが近道です。大門綜合会計事務所の会計監査・コンサルティングのご相談はこちらから承っています。



それでは、今日はこの辺で。

良い週末をお過ごしください。

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