No.283(2026/09/25):【LPS公正価値⑩】【エキスパート】実務の落とし穴とベストプラクティス――ファンドの公正価値評価・監査は大門綜合会計事務所へ

こんにちは
大門綜合会計事務所スタッフです。
毎週金曜日、会計・財務、税務、監査、内部統制関連の基礎・Tips等をお伝えしています。
(このコラムは大門綜合会計事務所スタッフによるメールマガジンの転載となります。
大門綜合会計事務所への会計監査等のご依頼・料金相場・価格表等はこちらから。)
本シリーズ「LPS投資資産の公正価値評価」(全10回)の第10回です。今回は、【エキスパート】実務の落とし穴とベストプラクティス――ファンドの公正価値評価・監査は大門綜合会計事務所へについてお伝えします。
公正価値評価の実務では、担当者が「正確に評価できている」と確信していても、気づかないうちに落とし穴にはまっていることがあります。シリーズ最終回となる今回は、全10回を振り返りながら、実務でよく問題となる落とし穴とその回避策を整理します。
まず最も見落とされやすいのが、取得原価や直近の取引価格に頼り続けることです。IPEVガイドラインや企業会計基準第30号(時価の算定に関する会計基準)が求めるとおり、公正価値は評価基準日時点における市場参加者の視点で算定されなければなりません。投資後に市場環境や投資先の業績が変化すれば、取得価格はもはや公正価値を反映していない場合があります。期末のたびにキャリブレーション(取得時の仮定を基準日に照らして検証する作業)を実施し、評価額を適時に更新することが不可欠です。
次によくある落とし穴が、優先株式等の権利を無視した一律評価です。たとえば仮に、ある投資先の企業価値を10億円と算定したとします。普通株と優先株が混在し、優先株主に2倍の清算優先分配が定められている場合、普通株に帰属する価値は全体の持分比率による単純按分とは大きく異なる場合があります。こうした分配価値分析(ウォーターフォール分析)を省略すると、評価額は実態から乖離します。各種類株式の権利を精査したうえで価値を配分することが基本です。
割引率やDLOM(非流動性ディスカウント)の根拠不足も頻出の問題です。「業界慣行として一定の率を使用」「前期と同じ数値を踏襲」といった説明では、監査人からの質問に十分答えることができません。投資先のリスク特性や比較可能な市場データに基づいた具体的な根拠を文書化し、変更がある場合はその理由も記録しておく必要があります。
ガバナンスと文書化の不備もまた深刻なリスクです。誰がいつどのような判断を行い、根拠は何であったかが記録されていなければ、監査対応において膨大な時間とコストが発生するだけでなく、評価の信頼性そのものが問われることになります。監査開始後に慌てて資料を整備しようとしても、遡及的な対応には限界があります。評価ポリシーを文書化し、定期的な内部レビューを組み込んだ体制を平時から整えておくことが重要です。
これらの落とし穴を回避するエキスパートの実務は、「一貫した評価方針の策定」「複数技法の整合的な活用とその文書化」「ガバナンス体制の整備」「早期の専門家連携」という四つの柱に集約されます。とりわけ、評価体制の設計段階から専門家が関与することで、後工程の対応コストを大幅に圧縮できます。
大門綜合会計事務所では、LPSをはじめとするファンドの投資資産の公正価値評価について、評価手法の検討・評価体制の整備から財務諸表監査に至るまで、一貫してご支援が可能です。全10回にわたりお読みいただいたこのシリーズが、実務の現場で少しでもお役に立てれば幸いです。
ファンド(LPS等)の投資資産の公正価値評価、評価体制の整備、そして会計監査まで、大門綜合会計事務所が一貫してご支援します。御社のファンドの状況に合わせた進め方や論点の見立てを、初回のご相談で具体的にお伝えします。お問い合わせ・初回のご相談はこちらから承っています。
それでは、今日はこの辺で。
良い週末をお過ごしください。




コメント