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No.260(2026/06/26):関連者書類の整理保存の特例とは?――令和8年度改正の新制度と青色申告の取消リスク


こんにちは


大門綜合会計事務所スタッフです。



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今回は、関連者書類の整理保存の特例とは?――令和8年度改正の新制度と青色申告の取消リスクについてお伝えします。



令和8年度税制改正により、グループ会社間の取引に関する新たな書類整備の規律が設けられました。それが「関連者間取引に係る書類の整理保存の特例」(以下「関連者書類の特例」)です。令和8年4月1日以後に行われる一定の取引から適用されるこの制度は、内国法人(子会社等)が関連者(親会社等)との間で取引を行う際、契約書や領収書などの書類に対価の額の明細等の記載がない場合、その記載のない事項(特定事項)を明らかにする「特定事項記載書類」を別途保存することを求めるものです(法人税法施行規則59の2 等)。


この特例の対象となる取引の範囲は、2つの類型に整理されています。一つ目は、工業所有権その他の技術に関する権利や著作権・プログラムの著作物等(以下「工業所有権等」)の譲渡または貸付けです。二つ目は役務提供であり、研究開発、広告宣伝等の事業活動、経営の管理・指導、情報の提供などが含まれます。この役務提供の類型は工業所有権と直接関係のないサービス全般にも及ぶ点が重要で、グループ内の経営管理料(マネジメントフィー)、業務委託費、広告費の負担など、いわゆる本社機能・共通サービスに係る取引も広く対象に含まれると整理されています。一方、棚卸資産(物品)の売買や金銭の貸付けはいずれの類型にも該当せず、今回の特例の対象外です。また、対象となる取引の方向は「関連者(親会社等)から内国法人(子会社等)へ」の提供であり、子会社側が対価を支払う取引に限られる点も確認が必要です。


例えば、日本法人の子会社が、親会社のブランドを使用する対価としてブランド使用料(工業所有権等の貸付けの対価)を支払い、同時に親会社がグループ全体の経営管理やバックオフィス業務を担うことへの対価として経営管理料(役務提供の対価)を支払っているケースを考えてみましょう。これらの取引は上記2類型のいずれかに該当しますが、基本契約書が存在していても対価の具体的な算定根拠や明細が契約書内に明記されていないことは珍しくありません。そうした場合に、別途「特定事項記載書類」として算定根拠・明細を記した書類を保存することが、今回の規律の核心となります。


この書類保存が法令の定めに従って行われていない場合は、青色申告の承認の取消事由に該当します(法人税法127条1項)。青色申告の承認が取り消されると、欠損金の繰越控除や各種の特別償却・税額控除など多くの恩典が失われ、経営上の影響は決して小さくありません。


ただし、運用面では硬直的な対応はなされない方向とされています。税務調査の際に保存がなかった場合や記載に不備があった場合は、まず一定期間内での取得・作成・提示が求められると考えられており、違反の程度が軽微であれば指導に留まることが想定されているという見方もあります。「保存がないことをもって直ちに青色申告の承認が取り消される」運用はなされない方向とされていますが、法令上は取消事由に該当する点に変わりはなく、「税務調査の際に対応すれば足りる」という理解は危険です。


この特例が創設された背景には、支配関係にある法人間で恣意的な支払額の調整が行われ、取引内容や支払額の根拠を確認できる書類がないために取引情報の把握が困難となる事例があったことが挙げられます。もっとも制度の趣旨は取引情報の把握にあり、過度に詳細な資料の一律保存を求めるものではないとされています。また、親会社等の関連者が対価の明細等の記載がある書類を一元的に保存しており、子会社である内国法人が関連者から特定事項を遅滞なく入手し提示できると認められる場合には、内国法人の納税地で特定事項記載書類を保存しているものとして取り扱われると考えられています。


実務対応としては、特定事項記載書類は取引を行った事業年度の確定申告期限までに取得または作成し、確定申告期限等を起算日として7年間保存することが求められます。税務調査の際に初めて取得・作成・提示すれば足りるわけではなく、取引の都度、対価の算定根拠や明細を整理・書類化しておくことが実務上の要諦となります。令和8年4月1日以後の取引を抱えるグループ企業においては、早急に対応の体制を整えることが求められます。



親会社・子会社などグループ会社間の取引がある企業では、令和8年度改正への対応として、契約書や対価の明細等の書類整備を早めに進めておくことが安心につながります。関連者間取引の書類対応や税務・会計、監査でお悩みでしたら、大門綜合会計事務所の会計監査・コンサルティングのご相談はこちらから承っています。



それでは、今日はこの辺で。

良い週末をお過ごしください。

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