No.259(2026/06/19):関連会社経由の役員への資金移転と実質課税原則による源泉徴収リスク
- DAIMON STAFF
- 5 日前
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こんにちは
大門綜合会計事務所スタッフです。
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第259回の今回はProfession Journalより関連会社経由の役員への資金移転と実質課税原則による源泉徴収リスクについてご紹介します。
役員に資金を渡したい、そう思われる場面は、経営の現場ではめずらしくありません。会社の業績が好調なとき、あるいはオーナー経営者として個人の資産を手当てしたいとき、役員に対してまとまった金額を渡したいというご要望は、多くの企業で起こりえます。
しかし、そこには重大な税務リスクが潜んでいます。会社から役員に直接資金を渡した場合、たとえその形式が「貸付け」であっても、実態によっては税務上の給与等と認定されるおそれがあるのです。給与等と認定されれば、会社には源泉徴収の義務が生じます。もし徴収をしていなければ、後から会社が追加の税負担を求められることになります。
こうした事情を踏まえ、「では、関連会社を経由すれば問題を避けられるのではないか」と考える経営者の方もいらっしゃるかもしれません。一旦、グループ内の関連会社に資金を移し、そこから役員に支払う、という形です。確かに形式的には、役員に資金を渡しているのは関連会社であり、もとの会社との直接的なつながりが見えにくくなります。
しかし、この発想には大きな落とし穴があります。税務の世界では「実質課税の原則」という考え方が重視されています。これは、取引の書類上の形式がどうであれ、経済的な実態に即して課税関係を判断するという原則です。つまり、誰が誰にいくら支払ったかという「形」よりも、その資金が最終的に誰のところに届き、なぜそのような動きをしたのかという「中身」が問われるのです。
最近の事例でも、この原則が厳しく適用されたケースが確認されています。会社が関連会社に資金を移し、その関連会社から役員に支払いが行われた取引について、税務当局がその資金の流れ全体を精査した結果、もとの会社が役員に報酬を支給したのと実質的に同じと判断し、源泉徴収の対象にあたるとされた事案です。形式的には「関連会社からの支払い」であっても、資金の出所や支払いの背景、当事者の関係性などを総合的に考慮すると、実態は役員報酬にほかならないと認定されたのです。
こうした事例が示すのは、「形式を整えれば課税を回避できる」という発想の危うさです。複雑な資金の流れがあるほど、税務調査の際に詳細な説明を求められる可能性はむしろ高まります。「なぜこのような経路で資金を動かしたのか」「その経済的な合理性はどこにあるのか」という問いに対して、納得のいく説明ができなければ、税務上の否認リスクは大きくなります。
また、仮に役員への支払いが給与等と認定された場合、問題は源泉徴収の未納だけにとどまりません。その支払いが法人税上の損金に算入できるかどうかという別の論点も浮上します。役員報酬が損金として認められるためには、定期同額給与や事前確定届出給与など、一定の要件を満たす必要があります。こうした要件を欠いた形での支払いであれば、損金算入も認められないという事態にも発展しかねません。
企業としては、役員への資金移転を計画する際に、事前にその性格を丁寧に整理しておくことが大切です。「これは本当に貸付けとして成立するか、それとも報酬の性格を持つものか」「関連会社を経由させる合理的な理由があるか」を実行前に確認しておくことが、後々のトラブルを防ぐことにつながります。
税務は「形より実態」を見るものです。役員への資金手当てに関してお悩みや疑問がある場合は、実行前に専門家にご相談いただくことをお勧めします。複雑な仕組みを作る前に一度立ち止まってご確認いただくことが、会社を守る最善の策になります。
【参考記事(Profession Journal)】
それでは、今日はこの辺で。
良い週末をお過ごしください。




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