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No.218(2026/05/08):AI時代の監査と企業側に求められるデータ対応

更新日:4 日前



こんにちは


大門綜合会計事務所スタッフです。


毎週金曜日、会計・財務、税務、監査、内部統制関連の基礎、Tips等をお伝えしています。


(このコラムは大門綜合会計事務所スタッフによるメールマガジンの転載となります。

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第218回の今回は、AI時代の監査と企業側に求められるデータ対応についてお伝えします。


監査の現場では、AIの活用がいよいよ実証段階から本格導入の段階へ移りつつあります。大手監査法人では、監査・保証業務にエージェント型AIを大規模に組み込み、監査手続、リスク評価、会計・監査ガイダンスへのアクセス、ワークフロー管理を高度化する動きが進んでいます。EYは2026年4月17日、全世界の監査業務にエージェント型AIを導入し、2028年までに監査業務全体を支援する見込みである旨を公表しています。


この変化は、監査法人側だけの話ではありません。企業の経理・財務部門にとっても、監査対応の前提が変わる可能性があります。従来は、試算表、総勘定元帳、証憑、契約書、稟議書などを、監査人からの依頼に応じて個別に提示する実務が中心でした。しかし、AIを組み込んだ監査では、より広範なデータを一括で分析し、異常な取引、例外処理、承認経路の不整合、期末付近の特殊な仕訳などを早期に把握する方向へ進むことが想定されます。


そのため、企業側でまず重要になるのは、会計データの整備です。勘定科目、補助科目、部門、取引先、摘要、承認者、証憑番号などが一貫したルールで管理されていなければ、AIによる分析の精度は十分に上がりません。逆にいえば、データが整っている会社ほど、監査対応の効率化だけでなく、自社の内部管理にもAI分析を活用しやすくなります。


次に重要なのは、内部統制の説明可能性です。AIが監査手続を支援する時代になっても、最終的な判断や職業的懐疑心の重要性がなくなるわけではありません。むしろ、なぜその承認が必要なのか、なぜその例外処理が認められたのか、誰がどのタイミングで判断したのかといった記録の重要性は高まります。属人的な口頭説明ではなく、システム上のログ、承認履歴、規程、業務フローとして説明できる状態が求められます。


また、経営者にとっては、AI監査への対応を単なる監査対応コストと捉えるべきではありません。会計データや業務プロセスを整理することは、月次決算の早期化、不正リスクの低減、資金繰り管理の精度向上、経営判断の迅速化にもつながります。監査の高度化は、企業側にとっても管理体制を見直す好機といえます。


一方で、AIを活用すればすべてが自動化されるという理解は危険です。AIが示す分析結果をどのように評価し、どのリスクを重点的に検討し、どの統制を改善するかは、最終的には人の判断に委ねられます。経理担当者、管理部門、経営者が、自社の取引実態と業務フローを正しく理解していることの価値は、むしろ高まっていくでしょう。


今後は、監査法人から求められる資料の形式や粒度、データ提出の方法が変化していく可能性があります。経理部門としては、会計システムのマスタ管理、証憑の電子保存、承認フローの記録、決算仕訳の根拠資料などを、あらためて点検しておくことが有用です。


【参考情報】EY Japan ニュースリリース


今回のテーマは、今後の実務対応を考えるうえで一度整理しておきたい論点です。

日々の業務にお役立ていただければ幸いです。

それでは、今日はこの辺で。

良い週末をお過ごしください。

 
 
 

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