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No.216 (2026/2/6): M&Aにおける株式取得にかかる付随費用の会計・税務上の考え方

更新日:5 日前


こんにちは


大門綜合会計事務所スタッフです。


毎週金曜日、会計・財務、税務、監査、内部統制関連の基礎、ティップス等をお伝えしています。


(このコラムは大門綜合会計事務所スタッフによるメールマガジンの転載となります。

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第216回の今回は、M&Aにおける株式取得にかかる付随費用の会計・税務上の考え方をとり上げます。


近年、中小企業においても事業承継や成長戦略の一環としてM&Aが近い選択肢となっています。今回はその中でも、株式取得に伴って発生する付随費用をどのように扱うべきかという、実務で判断に迷いやすいテーマを取り上げます。


株式取得に関しては、株式そのものの取得価格だけではなく、仲介会社への手数料、FA(ファイナンシャル・アドバイザー)報酬、デューデリジェンス費用、弁護士・税理士等の専門家報酬など、さまざまな付随費用が発生します。これらを一括して「M&A費用」と捉えてしまいがちですが、会計・税務上は性質に従った整理が必要です。


まず、会計上の基本的な考え方として、株式取得と直接結びつく費用については、株式の取得原価に含めるのが原則です。具体的には、株式取得を成立させるために不可欠な仲介手数料や成功報酬などが該当します。一方で、将来の検討段階で発生した調査費用や、最終的に取得に至らなかった場合のアドバイザリー費用などは、取得原価には含めず、発生時の費用として処理されることが一般的です。


税務上も基本的な考え方は会計と整合的ですが、実務では「どこまでが取得原価に含まれるのか」の線引きが問題となります。特にデューデリジェンス費用については、取得の意思決定に必要な調査という側面が強く、内容によっては取得原価に含めるべきか、期間費用とすべきか慎重な判断が求められます。安易に全額を費用処理してしまうと、税務調査で否認されるリスクもあります。


重要なのは、付随費用の内訳を契約書や請求書レベルで明確に把握することです。「M&A関連費用一式」として処理するのではなく、取得原価に含めるものと、当期費用とするものを整理し、会計処理の根拠を残しておくことが実務上のポイントとなります。


また、管理会計上からも、付随費用は単なるコストではなく、投資額の一部として捉える視点が重要です。取得後の投資回収や企業価値評価を行う際、これらの費用を含めた実質的な取得価格を把握しておくことが、管理会計上の視点につながります。


M&Aは一度きりの取引になることも多く、社内に十分な知見が蓄積されていないケースが少なくありません。だからこそ、会計・税務の観点から早い段階で専門家と相談し、適切な処理方針を定めておくことが重要です。


今回のテーマは、日常業務の中で見過ごされがちですが、実務上は重要な判断を要する内容です。

ぜひ自社の状況に当てはめて考えてみてください。


それでは、今日はこの辺で。

良い週末をお過ごしください。


 
 
 

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