No.210(2024/06/07):【VC条項④】実務の論点と監査での見られ方――4要件の当てはめ、CVC・戦略投資の注意、文書化
- DAIMON STAFF
- 2024年6月7日
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こんにちは
大門綜合会計事務所スタッフです。
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本シリーズ「VC条項(連結範囲の例外)」(全5回)の第4回です。今回は、実務の論点と監査での見られ方――4要件の当てはめ、CVC・戦略投資の注意、文書化についてお伝えします。
ベンチャーキャピタル条項の適用は、最終的に企業会計基準適用指針第22号第16項(4)に掲げる①から④の四つの要件を、対象とする投資先ごとに一つずつ当てはめていく作業に帰着します。第16項(4)①は売却等により議決権の大部分を所有しないこととなる合理的な計画があること、②は当該営業取引として行っている投資又は融資以外の取引がほとんどないこと、③は当該他の企業が自己の事業を単に移転したり自己に代わって行うものとはみなせないこと、④は当該他の企業との間にシナジー効果も連携関係も見込まれないこと、を求めています。これらは結論の背景である第41項(1)から(4)で各要件の趣旨が整理されており、いずれか一つでも満たさなければ、たとえ支配の要件に該当していてもVC条項によって子会社の範囲から除くことはできません。
実務で最も判断を要するのが、③と④の当てはめです。とりわけ近年増えているコーポレート・ベンチャー・キャピタル(CVC)や事業会社による戦略的投資では、自社の事業との相乗効果や業務提携、技術・販路の共有といった効果を期待して投資を行うことが少なくありません。こうした投資は、その目的自体が第16項(4)④のシナジー効果や連携関係と正面から重なり、また投資先に自社事業の一部を担わせる形であれば第16項(4)③の自己の事業の移転・代行にも触れることになります。結果として、純粋なキャピタルゲイン獲得を目的とする投資育成とは性格が異なり、VC条項を適用できず、支配の要件に従って連結が必要となる場合があります。専らキャピタルゲインを狙うファンド形態であっても、投資企業自身が第43項にいう実質的な営業活動を行っている企業であることが前提となる点も見落とせません。
そのため、四要件のそれぞれについて充足の根拠を文書化しておくことが重要です。売却計画の存在、取引関係の有無、事業の独立性、シナジーや連携の不存在を、投資契約や社内の意思決定資料、事業計画などに即して具体的に示せるよう備えておく必要があります。連結範囲の判定の誤りは財務諸表全体の信頼性に直結するため、監査の場面では、VC条項を適用した投資先について適用の妥当性とその根拠資料が必ず確認されます。本来連結すべき投資先を除外する過大適用も、適用要件を満たす投資先まで取り込む過大連結も、いずれも避けなければなりません。第16項(4)の文言に沿って一件ごとに丁寧に判断し、その判断過程を残しておくことが、適正な連結範囲の出発点となります。
自社の連結範囲の判定(投資先が子会社に当たるか、VC条項を適用できるか)にご不安があれば、連結に精通した公認会計士にご相談いただくのが近道です。大門綜合会計事務所の会計監査・コンサルティングのご相談はこちらから承っています。
それでは、今日はこの辺で。
良い週末をお過ごしください。




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