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No.209(2024/05/31):【VC条項③】制度の経緯と趣旨――監査委員会報告第60号から適用指針第22号へ(「連結外し」懸念と要件の明確化)


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本シリーズ「VC条項(連結範囲の例外)」(全5回)の第3回です。今回は、制度の経緯と趣旨――監査委員会報告第60号から適用指針第22号へ(「連結外し」懸念と要件の明確化)についてお伝えします。



連結の範囲は、議決権の所有割合だけでなく、実質的に他の企業の意思決定機関を支配しているかどうかという支配力基準で判定します。その例外として位置づけられるのが、本連載で扱っているベンチャーキャピタル条項です。ベンチャーキャピタルなどの投資企業が、投資育成や事業再生によってキャピタルゲインを獲得することを目的とする営業取引として他の企業の株式を保有している場合には、形式的には支配の要件を満たしていても、一定の条件のもとで子会社に該当しないものとして扱う、という取扱いです。


この取扱いは、もともと日本公認会計士協会の監査委員会報告第60号に定められていました。もっとも、その適用範囲や、なぜそのような例外が認められるのかという理由が必ずしも明確でないという指摘がありました。投資育成を目的としているという説明さえ整えれば、本来は連結すべき子会社を連結の範囲から外せてしまうのではないか、いわゆる「連結外し」につながりかねないという懸念です。連結財務諸表は企業集団の実態を映すものですから、例外の入口が曖昧であることは、財務諸表の信頼性に直接かかわる問題でした。


こうした指摘を踏まえて、監査委員会報告第60号の会計上の取扱いを実質的に引き継ぎつつ、その範囲と趣旨を整理・明確化したのが、現行の企業会計基準適用指針第22号です。子会社についての本文は第16項(4)に、関連会社についての同旨の取扱いは第24項に置かれ、例外が認められるための要件として、同第16項(4)の①から④が明示されました。すなわち、①売却等により議決権の大部分を所有しないこととなる合理的な計画があること、②投資又は融資以外の取引がほとんどないこと、③自己の事業を単に移転したり自己に代わって行うものとはみなせないこと、④シナジー効果も連携関係も見込まれないこと、の四つです。


これらの要件で縛る趣旨は、適用指針第22号の結論の背景に述べられています。第41項では、監査委員会報告第60号の取扱いを整理した経緯と、各要件の意味が第41項(1)から(4)として説明されています。要件の根底にあるのは、純粋に投資の成果を期待して一時的に保有しているにすぎないのか、それとも事業上の支配の一部として保有しているのか、という区別です。投資育成という建前のもとでの安易な連結回避を防ぎ、実態として企業集団に組み込まれている会社は連結に含める、という線引きを明確にするために、客観的な要件が設けられているのです。


そのため、第42項が示すとおり、株主総会その他これに準ずる機関を支配する意図が明確と認められる場合には、たとえ投資企業による保有であっても、その会社はやはり子会社に該当します。ベンチャーキャピタル条項は、支配の意図がないことを前提にした限定的な例外であって、保有形態が投資目的であれば自動的に連結を免れる、という性質のものではありません。自社がファンドやコーポレートベンチャーキャピタルを通じて投資先を保有している場合、この経緯と趣旨を踏まえて、四つの要件に照らした丁寧な検討が求められます。



自社の連結範囲の判定(投資先が子会社に当たるか、VC条項を適用できるか)にご不安があれば、連結に精通した公認会計士にご相談いただくのが近道です。大門綜合会計事務所の会計監査・コンサルティングのご相談はこちらから承っています。



それでは、今日はこの辺で。

良い週末をお過ごしください。

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