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No.200(2024/12/13): 三菱UFJ銀行の貸金庫盗難事件と金融機関の内部統制

DAIMON STAFF

更新日:6 日前




こんにちは


大門綜合会計事務所スタッフです。


毎週金曜日、会計・財務、税務、監査、内部統制関連の基礎・Tips等をお伝えしています。

(このコラムは大門綜合会計事務所スタッフによるメールマガジンの転載となります。

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第200回の今回は、「三菱UFJ銀行の貸金庫盗

難事件と金融機関の内部統制」についてご紹

介します。



2024年12月、三菱UFJ銀行の行員が貸金庫か

ら顧客の現金や貴金属を盗むという事件が発

覚しました。被害総額は時価で十数億円に上

ると報じられています。この問題を受け、金

融庁は同行に対し、銀行法に基づく報告徴求

命令を出す方針を固めました。これは、貸金

庫の管理体制に問題があったとみて、原因究

明と再発防止を求めるものです。


貸金庫は、顧客の貴重品を安全に保管するた

めのサービスであり、その管理は厳重である

べきです。しかし、今回の事件では、限られ

た行員だけが解錠できるはずの貸金庫を、元

行員が管理責任者としての立場を悪用し、無

断で解錠して盗難行為を行っていました。こ

の事実は、金融機関の内部統制やガバナンス

に重大な欠陥があったことを示唆しています。


内部統制とは、組織の業務が適切かつ効率的

に行われるようにするための仕組みや手続き

のことを指します。特に金融機関においては、

顧客の資産を預かる責任があるため、内部統

制の強化は極めて重要です。今回の事件は、

内部統制の不備が顧客の信頼を大きく損なう

結果となった典型的な例と言えます。


具体的な内部統制の欠陥として考えられるの

は、以下の点です。


1. 職務分掌の不備: 一人の行員が貸金

庫の管理と解錠の権限を持っていたため、不

正行為が可能となりました。職務の分離が適

切に行われていれば、複数の人間のチェック

が働き、不正を防ぐことができたでしょう。


2. 監査機能の欠如: 内部監査や定期的

なチェックが行われていなかった、または形

骸化していた可能性があります。定期的な監

査を実施し、異常な取引や行動を早期に発見

する体制が必要です。


3. 従業員教育の不足: 倫理教育やコン

プライアンス研修が不十分であった可能性が

あります。従業員に対する継続的な教育と意

識啓発が、内部不正の抑止につながります。


金融庁が報告徴求命令を出す背景には、金融

機関の信頼性確保と再発防止への強い意志が

あります。金融機関は、今回の事例を教訓と

して、内部統制の再評価と強化を図る必要が

あります。具体的には、職務分掌の見直し、

内部監査の強化、従業員教育の徹底などが求

められます。


また、顧客に対しては、被害状況の正確な報

告と適切な補償を迅速に行うことが重要です。

顧客の信頼を回復するためには、透明性の高

い情報開示と誠実な対応が不可欠です。


今回の事件は、金融機関のみならず、すべて

の企業にとって内部統制の重要性を再認識さ

せるものとなりました。特に、顧客の資産や

情報を取り扱う企業は、内部統制の強化と従

業員教育の徹底を図り、信頼性の向上に努め

る必要があります。


それでは、今日はこの辺で。

良い週末をお過ごしください。

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