No.194(2024/02/16):【新リース会計基準③】実務の入口――「リースの識別」(契約にリースが含まれるか)
- DAIMON STAFF
- 2024年2月16日
- 読了時間: 3分
更新日:3 日前

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本シリーズ「新リース会計基準」(全10回)の第3回です。今回は、実務の入口――「リースの識別」(契約にリースが含まれるか)についてお伝えします。
特定された資産があり、その使用を支配する権利が一定期間にわたり対価と交換に移転する――新リース会計基準では、この要件を満たす契約を「リースを含む契約」と判定し、ここを出発点としてその後のすべての会計処理が組み立てられます。新基準への対応というと、まず使用権資産やリース負債の計上額の算定に関心が向きがちですが、実務の入口は、そもそもその契約がリースに当たるかどうかを見極める「リースの識別」にあります。
判定の鍵は二つです。第一に、契約の対象となる資産が「特定された資産」であるかどうかです。特定の物件や設備が契約上明示されている場合はもちろん、明示がなくても実態として特定の資産が用いられているのであれば、特定された資産があると考えます。一方で、供給者が契約期間を通じて他の資産に入れ替える実質的な権利を有している場合には、特定された資産には当たらないと整理されます。第二に、その特定された資産の使用を「支配する権利」が移転しているかどうかです。具体的には、使用から生じる経済的便益のほぼすべてを得る権利と、その資産をどのように使用するかを指図する権利の双方を、利用者側が有しているかで判断します。
この識別が実務で難しいのは、契約の名称や法形式とは無関係に、経済的実態で判断しなければならない点にあります。賃貸借契約という名前であってもリースに当たらないことがあり、逆に保守やサービスを主とする契約の中にリースの要素が含まれていることもあります。後者がいわゆる「組込みリース」の論点で、たとえば運送・保管・データセンター・電力供給といった役務提供契約の中に、特定の車両や設備、サーバーラックなどの使用権が実質的に組み込まれているケースが典型です。契約書を一見しただけではリースと気づきにくく、見落とされやすいところです。
加えて、一つの契約にリースの要素と純粋なサービスの要素が混在している場合には、原則として両者を区分し、それぞれにふさわしい会計処理を行うことが求められます。どこまでをリースとして切り出すかは、対価の配分を含め、判断を要する場面です。
リースの識別を誤れば、本来オンバランスすべき使用権資産とリース負債が計上されない、あるいは不要な資産・負債を計上してしまうことになり、その影響は財務諸表全体に及びます。新基準は原則として2027年4月1日以後開始する事業年度から適用され、早期適用も認められていますが、適用初年度の対応を円滑に進めるうえでは、自社が締結している契約を早い段階で棚卸しし、サービス契約と思っていたものの中にリース要素が潜んでいないかを点検しておくことが欠かせません。識別という入口を丁寧に固めることが、その後の測定や開示を確かなものにする第一歩となります。
新リース会計基準への対応(影響度の把握、契約の棚卸し、会計処理やシステムの整備、監査対応)にご不安があれば、基準に精通した公認会計士にご相談いただくのが近道です。大門綜合会計事務所の監査・コンサルティングのご相談はこちらから承っています。
それでは、今日はこの辺で。
良い週末をお過ごしください。




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