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No.156(2023/3/17): 内部統制報告実施基準の改訂


こんにちは


大門綜合会計事務所スタッフです。


毎週金曜日、会計・財務、税務、監査、内部統制関連の基礎・Tips等をお伝えしています。

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156回目の今回は、金融庁が2024年度から導

入を予定している内部統制報告制度の改訂

についてご紹介します。



今週、以下のような記事がありました。

<企業の内部統制、24年度から開示強化>

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO69260580U3A310C2EE9000/

2023年3月15日 日経電子版


引用、要約すると・・・、



・金融庁は2024年度から、上場企業に報告書

の提出を義務付けている「内部統制報告制

度」に新たな基準を導入する


・海外子会社の事業を対象に含めるよう促す

ほか、形式的になっていた訂正報告にも経緯

や理由を記載するよう義務付ける


・導入から15年経ち、形骸化が目立ってきた

制度を改める



というもの。



ご存じかと思いますが、内部統制報告制度と

は、上場企業が財務報告に関する内部統制の

評価と監査を企業自らが行い、


その結果を年に一度、金融庁に提出すること

を義務付けた制度になります。


この制度は2008年にカネボウや西武鉄道など

の会計不正が発覚したことをきっかけに導入

されました。


しかし導入から15年経ち、形式的な開示が増

えているという問題が指摘されているため、


金融庁は今春にも実務上のガイドラインを改

正し、以下のような新基準を設ける予定のよ

うです。



・海外子会社などリスクの高い領域を選定し

チェックする


・訂正報告に訂正の経緯や理由を記載する


・重要な影響を及ぼす問題があった場合は是

正状況も記載する



これらの新基準は24年4月1日以降に始まる事

業年度から適用予定のため、企業は早ければ

25年6月頃から新基準での報告書の提出が必

要となります。


上述のように新基準では海外子会社も対象と

なりますが、これは海外子会社で不祥事が発

生した事例が多いことが要因でしょう。


欧州ではカリリオンやワイヤーカードの事件

を受けて規制強化が進んでおり、日本もそれ

に追随した形となります。


また訂正報告や是正状況の記載義務化は投資

家保護の観点から重要な情報となります。


これまでは企業側が「内部統制は有効」と報

告した後で不備が発見された場合でも、


その理由や対策が明らかにされないことがほ

とんどでしたが、投資家からすれば是正状況

は重要な投資情報となります。




このように、改訂により企業側は今後、さら

なる内部統制報告に対する負担が増加するこ

とは避けられない状況です。


企業側は内部統制の設計や運用を見直し、海

外子会社や訂正報告などリスクの高い領域を

選別し、効率的かつ深度のある手続を行う必

要があるでしょう。

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