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海外ファンドの日本不動産への投資が急拡大の理由

更新日:2021年7月18日

こんにちは


大門綜合会計事務所スタッフです。


毎週金曜日、会計・財務、税務、監査、内部統制関連のTips等をお伝えしています。



39回目の今回は日本の不動産市況について以

下のような記事があったのでご紹介します。


<不動産ファンド、日本で1兆円投資 企業売却受け皿に>

2020/10/12 日経電子版


要約すると・・・、


・外資系の大手不動産ファンドのベントー

ル・グリーンオーク(BGO、本社カナダ)が

今後2~3年で最大1兆円を投じる。


・今後、コロナ禍で業績が悪化した企業が不

要な不動産や、非中核事業である不動産子会

社を売る動きが加速するとみる


・日本企業による不動産売却が増えたため、

海外ファンドはその受け皿となる投資を拡大


・日本の不動産市場は欧米に比べコロナ禍の

打撃が小さく、相対的に高いリターンが見込

める


・日本の不動産取引全体に占める海外勢の割

合はコロナ前の20%前後から60%前後へ急拡大

している


・日本は住宅が比較的狭く、IT(情報技術)

インフラの整備も不十分なため、オフィス需

要は大幅には減らないとみる



というもの。



個人的には、コロナ禍によるテレワークの増

加に伴い、オフィス需要が減少し不動産価格

は下がるのでは?と考えていました。


そのため、不動産ファンドや不動産を多く保

有する企業においては、当期末の決算におい

ては


固定資産の減損の必要性の有無が非常に大き

なトピックになり、今まで以上に減損損失の

計上が増えると考えています。


現に、日本のホテル業界等では、保有資産の

減損の検討や、ホテル自体の売却がすでに進

んでいます。


しかし、海外の不動産ファンドはそうは考え

ていないようです。


逆にテレワークの増加によりオフィスを手放

す日本企業が売却する不動産を買い増ししよ

うとしているようです。


これは今後、日本の不動産価格がさらに上昇

すると見込んでいるからこそできることであ

りますが、


世界的な低金利により、相対的にリターンの

大きい不動産に運用先が向かっているという

理由もあるかと思います。



また、米欧の機関投資家はコロナ前から、経

済成長の見込めるアジアへの投資を増やして

おり、


感染拡大後は米欧に比べて経済的打撃が比較

的小さいアジア投資への流れが加速し、


中でも経済規模が大きく、投資機会が多い日

本に照準が当たっているというのも理由の一

つとなっています。



このように海外ファンドは日本の不動産市況

が上昇すると見込んでいるようですが、


会計上の減損検討にはそれらの見込みを具体

的かつ客観的に説明できる必要があります。


例えば、取得したオフィスビルに、減損損失

の計上が不要なほどに十分なテナント企業が

入居するであろうことを


具体的かつ客観的に説明できなければ、減損

損失計上を回避することはできません。


いずれにせよ、当期末の固定資産の減損の有

無の検討は非常に難しいものとなりそうです。


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