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内部統制の限界

更新日:2021年5月14日

こんにちは


大門綜合スタッフです。


毎週金曜日、会計・財務、税務、監査、内部統制関連のTips等をお伝えしています。


緊急事態宣言が解除され、月も6月に入りま

した。


街中の人や電車の混み具合が徐々に戻ってき

ているような気がします。


自粛期間の電車の空き具合に慣れてしまうと、

やはり混雑した電車は辛いな・・・、と思う

今日この頃です。



さて、今週は以下のようなニュースがありま

した。


<「鬼滅の刃」アニメ制作会社、脱税の疑い1億4千万円>

朝日新聞デジタル 2020年6月3日


要約すると・・・、



・人気アニメ「鬼滅(きめつ)の刃」の制作

会社と同社社長が東京国税局査察部から脱税

容疑で東京地検に告発された


・運営する飲食店の売り上げを少なく見せか

けるなどして約4億4600万円の所得を隠し、

計約1億4千万円を脱税した疑い


・同社は手がけたアニメを題材としたカフェ

やレストランを各地に展開


・社長が経理担当者に帳簿を改ざんさせる方

法で、2015、17、18年の各期3年間で計約4億

4600万円分の売り上げを申告せず、法人税約

1億1千万円を脱税した疑いが持たれている




今、非常に人気となっているアニメ「鬼滅の

刃」の制作会社での脱税疑惑です。


私はアニメも漫画も見たことが無いのですが、

原作漫画の単行本も大人気のようです。


書店で売り切れが続出し、一人一冊までの購

入制限があったりもするようです(転売目的

で購入を防止するため)。




上記記事で、注目したいのは、「社長が経理

担当者に帳簿を改ざんさせる方法で」脱税を

行ったという点です。



以前のブログで、不正のトライアングルに

ついて、お話しました。


その中では不正は「動機」、「機会」、「姿

勢・正当化」の3つの要素により起こるもの

であり、


これらの3要素が発生しないように企業の環

境や内部統制を整える必要があるとお話しま

した。



ここで内部統制とは・・・、


経営者が、経営上のリスクを一定水準に抑え

るために、「事業活動にかかわる従業員すべ

てが遵守すべき社内ルールや仕組み」です。


本来であれば、経営者が、企業の経営上のリ

スク(主に不正や違法行為等)を防止する観

点から、内部統制を構築します。


すなわち、従業員の横領や不正な取引を防止

するために、それぞれの取引等に、上長の承

認等を必要とすることで、


従業員の不正が起こらないような、企業とし

ての体制を構築しているのです。



しかし、内部統制には4つの限界があると一

般的に言われており、その4つとは以下の4つ

になります。


①「担当者の不注意や共謀」


②「環境変化や非定期型取引」


③「費用対効果の限界」


④「経営者による無視」



今回の脱税疑惑は④の「経営者による無視」

によるものとなります。


これは、いくら厳重に内部統制を構築したと

しても、経営者自らが内部統制を無視し、不

正を行う場合には、内部統制は機能しない


というものです。


内部統制は、担当者だけでは取引等が出来な

いように、上長の承認等を経たうえで取引や

帳簿記入を行うものですが、


企業の中で一番の上長である経営者が当該内

部統制を無視した場合には、内部統制は全く

機能しないという事です。




考えてみれば当たり前のことですが、そのよ

うな経営者の下では、内部統制を構築するこ

と自体が無意味となってしまいますよ

ね・・・。



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