包括利益は「企業の〇〇と〇〇の差額」

更新日:2021年7月18日


こんにちは


大門綜合会計事務所スタッフです。


毎週金曜日、会計・財務、税務、監査、内部統制関連のTips等をお伝えしています。


68回目の今回は包括利益についてお伝えします。





新聞やネットの経済・財務関連の記事で「包括利益」に言及されている記事を見たことがあるかと思いますが、


(1)包括利益とはどのようなものなのでしょうか。


また、


(2)当期純利益とは違いはどのような点なのでしょうか。




(1)について


連結財務諸表を作成している上場会社の有価証券報告書においては、包括利益計算書が作成されており、


その中に包括利益の金額の記載がなされています


(子会社が存在しない会社においては、連結財務諸表は作成されないため、包括利益計算書の作成は求められていません。)




ここで、そもそも包括利益とはどのようなものなのかご存知でしょうか。



簡単にお伝えすると、


「企業の純資産の期首と期末の差額」


ということになります。



(基準における定義は「特定期間の財務諸表において認識された純資産の変動額」です。「包括利益の表示に関する会計基準」より)



正確には、持分所有者(株主や新株予約権者)との取引は除かれるため、


増資が行われたり、新株予約権が発行された場合の純資産の増加額は除かれます。



取引がシンプルな会社においては、当期純利益がそのまま純資産の増加額になるため、包括利益=当期純利益となります。



では、包括利益と当期純利益は何が違うのでしょうか。





(2)当期純利益との違い


包括利益と当期純利益の違いは、包括利益は当期純利益にプラスして以下のものが含まれる、という点が違いとなります。


すなわち包括利益には


①投資有価証券等評価差額金


②為替予約、通貨オプション等の金融商品の時価差額(繰延ヘッジ損益)


③退職給付に係る調整額


④為替換算調整勘定


④保有土地の含み損益


等の純資産の増減には影響するが、損益計算書を通らない(=当期純利益に含まれない)ものとなり、


これらを「その他の包括利益」と呼びます。



「その他の包括利益」で一般的によく発生しがちなものは①ですので、


一旦は包括利益は当期純利益に「①投資有価証券評価差額」をプラスしたものと覚えておいて良いかと思います。


(②は為替予約やオプション等の複雑な金融商品を持っている会社、②~③は連結子会社が存在するような大きな会社に発生し、


④は土地再評価を行った際に発生するもので、今後新たに発生するものではありません。)



①はその他有価証券(長期利殖目的の株式や債券、取引先との持合い株式等)の取得価額と時価と簿価との差額で、


短期に当該差額が実現することが見込まれないため、当期純利益には含まれませんが、純資産には計上されるものとなります。





包括利益が導入された目的の一つは「国際会計基準(IFRS)との整合性を取るため」というものがあります。


国際的に使用されている基準はIFRSですので、IFRSを利用している海外の投資家が


海外企業と日本企業の比較をしやすくするために導入された、というのが大きな理由です。



また、包括利益を財務諸表に記載することで、その企業が通常の営業活動から発生する当期純利益以外に、


為替変動や株式変動などの市場変動リスクによりどの程度影響を受けたのか、という事がわかりやすくなります。



このように、当期純利益と包括利益と併せて利用することで、企業活動を評価する際に有用な情報となるとなるのです。

#企業会計