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No.155(2023/3/10): 日産の格付けが投機的水準に

更新日:2023年3月18日


こんにちは


大門綜合会計事務所スタッフです。


毎週金曜日、会計・財務、税務、監査、内部統制関連の基礎・Tips等をお伝えしています。

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155回目の今回は日産の格付けが引き下げら

れたという記事がありましたのでご紹介しま

す。



<日産を格下げ、投機的水準に S&P「収益回復に遅れ」>

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC0791U0X00C23A3000000/

2023年3月8日 日経電子版


引用、要約すると・・・


・格付け会社S&Pグローバル・レーティング

は日産自動車の長期発行体格付けを、「トリ

プルBマイナス」から投機的水準となる「ダ

ブルBプラス」に1段階引き下げたと発表した


・日産の格付けが投機的水準にまで下がるの

は2002年以来


・半導体不足の長期化などにより収益回復が

想定以上に遅れていると判断した



というもの。



そもそも、S&Pの格付けとはどのようなもの

なのでしょうか。


S&Pの格付けとは、S&Pグローバル・レーティ

ングが、国や企業などの債務返済能力を記号

で示したものです。


債務返済能力とは、借入等をした際に、その

利息や元本を払えるかどうかを表す指標とな

ります。



S&Pの格付けは、AAAからDまでの22段階に分

かれており、AAAが最も信用度が高く、Dが最

も信用度が低いことを意味し、


投資家や政策決定者にとって重要な情報源と

なっています。


例えば、国債格付けは、その国が発行する国

債の価値やリスクを判断する際に参考にされ、


企業格付けは、その企業が発行する株式や社

債の魅力や安全性を評価する際に活用されま

す。



S&Pの格付けは、定期的に見直されることが

あり、その理由は様々ですが、主なものとし

ては経済状況や財政状況の変化、政治的な不

安定さや危機的事態などが挙げられます。


見直しによって格付けが上昇したり下降した

りすることで、その国や企業への投資意欲や

信頼感に影響を与える可能性があります。



今回の引き下げの要因は、日産の生産能力の

低下や、半導体不足による稼働率の低下、そ

れに伴うEBITマージン(償却前営業利益率)

の低下等があり、


同業他社に比べて「大きく見劣りする」とい

う点が格下げの要因となりました。



EBITDAマージンは、売上に対するキャッシュ

フローの割合ですが、それが同業他社に比べ

て低いことは競争力低下につながりかねませ

ん。


電気自動車市場での地位確保に必要な研究開

発費や設備投資は、将来的なキャッシュフ

ローを生み出すために必要ですが、


日産は2019年比で3500億円の固定費を削減し

収益性を重視した販売戦略を採用しているこ

とから、


今後の電気自動車市場での地位低下と財務基

盤の悪化の可能性が格付け引き下げに大きな

要因となっています。

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