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日銀短観のK字化とワクチン接種

更新日:2021年7月18日

こんにちは


大門綜合会計事務所スタッフです。


毎週金曜日、会計・財務、税務、監査、内部統制関連のTips等をお伝えしています。

63回目の今回は先週発表された日銀短観につ

いてお伝えしようと思います。



<景気「K字型」鮮明、製造・サービスで明暗3月日銀短観>

2021年4月1日 日経電子版


要約すると・・・、


・日銀が1日に発表した3月の全国企業短期経

済観測調査(短観)では、製造業の景況感が

大幅に改善した


・製造業で景況感が「良い」と答えた企業の

割合から「悪い」の割合を引いた業況判断指

数(DI)は大企業製造業がプラス5


・マイナス5を見込んでいた市場予測を大き

く上回り、19年9月のコロナ前の水準を回復

した


・一方で非製造業は持ち直しの鈍さが目立ち、

半導体不足など供給制約の問題で製造業の先

行きには懸念が出ている


・大企業非製造業の業況判断DIはマイナス1


・前回から4ポイント改善したものの、コロ

ナ前の19年12月がプラス20だったことを踏ま

えると、本格回復にはほど遠い


というもの。



前回の2020年12月の日銀短観が出た際にもお

伝えしましたが、簡単にご説明すると日銀短

観は以下のようなものです。



①日銀が全国の企業約1万社を対象として、3

か月ごとに実施しているアンケート調査


②調査項目は、


(1)「企業が自社の業況や経済環境の現

状・先行きについてどうみているか」などの

項目(判断項目)


(2)「売上高や収益、設備投資額といった

事業計画の実績・予測値など」(年度計画)、


(3)物価見通し


(4)新卒者採用状況等々


③ ②(1)の「自社の業況」についての回答

から作る「業況判断DI」((注)DI=diffusi

on index)が最も注目されている


④「業況判断DI」は「自社の業況」につき

『良い』から『悪い』と答えた企業の構成比

(%)を引き算した数値


⑤景気が良いとプラス方向に、景気が悪くな

るとマイナス方向に振れる。


⑥このため、業況判断DIを3か月ごとにつな

いでグラフ化すると、景気の波が読み取れる。



短観は3カ月に1度、日銀が全国の約1万社に

景況感や収益見通し、設備投資計画などを聞

き取る調査で、


対象が幅広く速報性も高いことから、景気の

現状や先行きを読む材料として注目されてい

るものです。





上記記事にもありますが、今回の製造業の回

復はコロナ前の水準まで戻っています。


その要因として、先に回復をしていた米中経

済からの需要や、


コロナの影響で2020年は手控えていた設備投

資が徐々に再開されてきている、という点が

挙げられます。



一方で、人同士の接触が想定される非製造業

については、本格回復には程遠い状況です。


コロナ前の日本経済は、インバウンドにより

非製造業が牽引していたと言う点も、


コロナによりインバウンドが期待できない現

在の低いDIに表れていると言えるでしょう。



このように、回復する部分と停滞する部分に

分かれ二極化が進むこと「K字型」と呼ぶそ

うです。



英国や米国でも昨年はK字化が起きていまし

たが、今年に入ってワクチン接種が進み非製

造業が回復してきています。


3月末時点で全人口の40%以上が1度は接種を

受けており、ワクチンパスポート制度も打ち

出している英国等に比べて、


日本はワクチン接種が始まったばかりで非常

に出遅れていると言えます。



日銀短観は、このワクチン接種の遅れが景気

回復の遅れに直結していることを表している

と考えられます。





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