こんにちは
大門綜合会計事務所スタッフです。
毎週金曜日、会計・財務、税務、監査、内部統制関連のTips等をお伝えしています。
86回目の今回も前回に引き続き税効果会計に
ついてお伝えします。
前回、税効果会計とはどのようなものかにつ
いて簡単にお伝えしました。
その中で、税効果会計とは
「企業会計と税法に基づく会計(以下、税務
会計とします)とのズレを企業会計に反映さ
せるための会計処理」であり、
企業の活動を適切に財務数値に表すことを目
的としている企業会計と、
企業活動から納税額の基準となる課税所得を
いかに客観的に計算するかを目的としている
税務会計との差異について、
企業会計上に適切に反映するための会計処理
のことである旨をお伝えしました。
では、実際に企業会計と税務会計との差異と
はどのようなものがあるのでしょうか。
企業会計と税務会計との差異の例としては以
下のようなものがあります(あくまで一例で
す)。
①役員給与の損金不算入額
②減価償却費の償却超過額
③繰越欠損金の当期控除額
では、それぞれ見ていきましょう。
①は税法で定められている役員への給与額を
超えた額を役員へ支給した場合であっても、
超えた部分を含めた全額を企業会計では計上
する必要がありますが、税務会計では税法で
定められている金額を超えた部分は
課税所得計算に含めてはいけないので、企業
会計上の費用額からマイナスします。
(課税所得計算上認められない費用が企業会
計上の利益計算上マイナスされているので、
企業会計上の利益にプラスします)
これについては、当該超過額は永久に課税所
得計算に含められることはないため、企業会
計と税務会計との間の永久差異と呼ばれます。
②についても同様に、税法で定められた減価
償却額を超えて、企業会計上の減価償却額を
計上した場合のものとなります。
こちらについても①と同様に、課税所得を計
算するために企業会計上の利益に減価償却費
超過額をプラスします。
ただし、超過して計上した減価償却費は、対
象資産を除却した場合や売却した場合に
未償却残高を課税所得計算上、損金に計上す
る事が認められるものであるため、
ある期に減価償却費が超過した状態となって
いたとしても、将来の期においてその超過額
が解消することになります。
すなわち、通期で見れば企業会計上の費用計
上額と税務会計上の損金計上額が一致すると
いうことであるため、
②のような企業会計と税務会計の差異の事を
一時差異と呼びます。
最後に③の繰越欠損金については、ある期の
課税所得計算上の欠損を将来の課税所得から
マイナスすることが出来るものであるため、
将来の期において、企業会計上の利益と課税
所得との差異の原因となるものとなります。
このように、企業会計上の利益と税務会計上
の課税所得の計算には上記のような種類の差
異発生要因があり、
その差異を企業会計に適切に反映するために、
税効果会計という会計処理を行うこととなり
ます。
次回は、どのように上記のような差異を企業
会計に反映させるのかについてお伝えします。
Comments