こんにちは
大門綜合スタッフです。
毎週金曜日、会計・財務、税務、監査、内部統制関連のTips等をお伝えしています。
32回目の今回も、ゴーイング・コンサーン
(継続企業の前提)について その3です。
その1において、
・継続企業の前提とは企業の会計処理が「企
業が将来にわたり半永久的に継続するという
前提」の下で行われていること
・その最たる例が減価償却費の計算・計上や、
繰延税金資産の計上であること
その2において
・新聞などで報道される「継続企業の前提に
関する注記(GC注記)」が記載される要因は
①一般的に企業が倒産する際に発生する事象
(売上の著しい減少等)が起こっており、
②当該事象を1年内に解消する合理的な計画
が立てられていないことを意味すること
をお伝えしました。
その3の今回は
上記②の1年内に解消する合理的な計画につ
いてお伝えします。
企業経営を行っている中では、今回のコロナ
禍のように、予想もしないような事象に遭遇
することや、
経営が思い通りにいかないことが多々生じま
す。
そのような過酷な企業経営の中で、上述①の
「一般的に企業が倒産する際に発生する事
象」が発生することはあり得るでしょう。
例えば、売上の著しい減少や、借入金の返済
期限までの返済原資が不足するなどの事態で
す。
そのため、単にこのような事象(①)が起こ
っただけでGC注記がなされるわけではありま
せん。
①の事象に追加して、「②当該事象を1年内
に解消する合理的な計画が立てられていな
い」場合にGC注記がなされることになります。
前述のとおり、GC注記を記載するということ
は、「企業が1年内に倒産するかもしれな
い」という注記であり、
それを有価証券報告書や短信に記載するもの
です。
当然、企業としてはそんな注記を行った場合
には、株価は暴落し、信用がガタ落ちします。
そのため、企業にとっては非常に大きな問題
であり、普通の企業であれば絶対にしたくな
い注記となります。
しかし、前述のとおり、GC注記の要因となる
①の事象(売上の著しい減少や債務不履行の
可能性等)が発生している場合には、
当該事象を1年内に解消するための合理的な
計画が立てられていない限り、注記する必要
が出てきます。
「じゃあ、『当該事象を1年内に解消するた
めの合理的な計画』を立てれば良いじゃ
ん!」
と思う方もいらっしゃるでしょう。もちろん
そうなのですが、これは口で言うほど簡単な
ことではありません。
この「当該事象を1年内に解消するための合
理的な計画」とは、実行可能性の高いもので
ある必要があり、
実行可能性が高いということを、第三者であ
る監査法人に客観的に説明出来る必要がある
のです。
例えば、1年内に債務不履行の可能性がある
場合(1年内に借入金の返済期限が到来する
が、返済原資がない等)、
有報が公表されるまでに、借入や増資等で返
済原資を確保・確保の契約等を行ったり、返
済期限の延長を金融機関にしてもらう等、
第三者である監査人が納得する客観的な形で、
当該事象が解消するであろうことを立証出来
なければGC注記は避けられないのです。
このように、
「合理的な計画」を立てるということは絵に
かいた餅では意味がなく、実行可能性の高い
具体的な計画が必要であるため、
①の事象を解消するための合理的な計画を立
てることはそれほど簡単なことではないので
す。
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