こんにちは
大門綜合スタッフです。
毎週金曜日、会計・財務、税務、監査、内部統制関連のTips等をお伝えしています。
31回目の今回も、ゴーイング・コンサーン
(継続企業の前提)について その2です。
その1において、
・継続企業の前提とは企業の会計処理が「企
業が将来にわたり半永久的に継続するという
前提」の下で行われていること
・その最たる例が減価償却費の計算・計上や、
繰延税金資産の計上であること
をお伝えしました。
その2の今回は、新聞などで報道される「継
続企業の前提に関する注記(GC注記)」の意
味についてお伝えします。
結論から申し上げますと、「継続企業の前提
に関する注記」が記載されている企業は
①「その企業が潰れる可能性を示す事象」が
発生しており、
②当該事象を1年以内に解消するための合理
的な改善計画が立てられていない
という事を意味します。
しかし、当該注記が記載されたからといって、
必ずしも当該企業が倒産するかと言うとそう
ではありません。
例えば、決算発表が相次いだ今年の6月、以
下のような報道がありました。
<JDI、6期連続最終赤字 コロナで需要減>
2020/6/30 日経電子版
要約すると・・・、
・経営再建中のジャパンディスプレイ(JD
I)が30日発表した2020年3月期の連結決算は、
最終損益が1014億円の赤字だった
・赤字は6期連続
・売上高は前の期比21%減の5,040億円
・(第3四半期まで債務超過であったが)い
ちごアセットマネジメントなどの金融支援で
期末時点では債務超過を回避
・決算短信では「継続企業の前提に関する注
記」を引き続き入れた
というもの。
JDIは継続企業の前提に関する注記を2期連続
で注記しておりますが、倒産には至っていま
せん。
上記記事から、継続企業の前提に関する注記
が記載される要因はどれかわかりますでしょ
うか。
答えは、以下の3つとなります。
①赤字は6期連続
②売上高は前の期比21%減の5,040億円
③第3四半期まで債務超過であった
継続企業の前提の注記をするか否かについて
は、日本公認会計士協会の監査・保証実務委
員会によって規定されています。
監査・保証実務委員会報告第74号「継続企業
の前提に関する開示について」)
この中に「継続企業の前提に重要な疑義を生
じさせるような事象又は状況」が例示されて
おり、
当該例示は、会社が潰れる際に起こる一般的
な事象を例示列挙しているものとなります。
当該例示の中には
・売上高の著しい減少
・継続的な営業損失の発生又は営業キャッシ
ュ・フローのマイナス
・重要な営業損失、経常損失又は当期純損失
の計上
・債務超過
等が例示されています。
JDIは
①赤字は6期連続
②売上高は前の期比21%減の5,040億円
③第3四半期まで債務超過
でしたので、上記の例示に該当することとな
ります。
当該、注記の要因については、JDIの短信に
も記載されています。
このように、継続企業の前提の注記が記載さ
れるということは一般的に会社が潰れる際に
発生する事象が起きており、
当該事象を1年以内に解消するための合理的
な計画が立てられていないことを意味してい
ます。
しかし、冒頭でもお伝えした通り、継続企業
の前提の注記が記載されたからと言って、必
ずしもその会社が潰れることは意味しません。
当該理由については、次回お話したいと思い
ます。
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