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賃貸オフィスを資産に計上 ~今後のリース基準 その4~

こんにちは


大門綜合スタッフです。


毎週金曜日、会計・財務、税務、監査、内部統制関連のTips等をお伝えしています。


第26回目の今回も、日本の新リース基準の

ベースとなるIFRSのリース基準(IFRS16号)

についてお話します。



前回まで


・日本のリース基準の改訂が今後行われると

いうこと


・それはIFRS16号とほぼ同じ内容となると考

えられること


・改訂された場合にはオフィス賃料も資産計

上されるということ


・IFRS16号が改訂された理由は実質的にはフ

ァイナンスリース(資産計上)でもオペレー

ティングリース(費用処理)として処理して

いる場合が多かったから


・IFRS16号は使用権モデルという考え方を採

用している


・IFRS16号の借手の会計処理は従来のファ

イナンスリース処理に一本化されたものと考

えればOK


ということをお伝えしました。



今回は、IFRS16号の具体的な処理について、

そのような取引が資産計上されるのかについ

て、お話いたします。




現状の日本のリース基準では、リース契約が

購入と実質的に同様と判断されない場合には

オペレーティングリース処理(賃貸借処理)

が行われます。


そのため、損益計算書にリース料が費用計上

されて終わりです。


しかし、IFRS16号では前述のとおり、使用権

モデルが採用されるため、リース対象物を使

用する権利があると考えられる場合には、


「使用権資産」という科目名で資産計上がな

されます。


では、その「リース対象物を使用する権利が

ある」とはどのような状態のことを指すので

しょうか。



IFRS16号ではリース取引を


「①特定された資産の②使用を支配する権利

を移転する契約」


と定義しています。



わかりづらいですね・・・。

噛み砕いてお話すると


「①特定された資産」とは・・・、物理的に

区分された資産である必要があるということ

です。


例えば、オフィスの1フロアを借りる場合で、

そのフロアを占有する場合にはこれに該当し

ます。


逆に、フリーアドレスのシェアオフィス等の

ように、その時に空いている席を利用できる

ような場合には、


どの席を借りているのかが特定されていると

は言えないこととなり、リース取引には該当

しないことになります。




次に


「②使用を支配する権利」とは・・・、


「使用期間にわたり特定された資産の使用か

ら生じる経済的便益のほとんどすべてを得る

権利を有していること」


と定義しています。こちらもわかりづらい表

現ですが、こちらも上述のオフィスフロアに

当てはめると簡単でしょう。


オフィスの1フロアを占有して借りている場

合には、


当該フロアの使用から生じる経済的便益のほ

ぼ全てを得る権利を有している


と言えるでしょう。


逆に、上述のフリーアドレスのシェアオフィ

スの場合には、他の人が使う場合もあり、


経済的便益のほぼ全てを得る権利を有してい

るとは言えないこととなります。



前述のようにIFRS16ではリース取引の対象範

囲が広がりましたが、このような視点により、

リース対象取引の識別を行うこととなります。


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