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賃貸オフィスを資産に計上 ~今後のリース基準 その2~

こんにちは


大門綜合スタッフです。


毎週金曜日、会計・財務、税務、監査、内部統制関連のTips等をお伝えしています。



前回、IFRSの新しいリース基準(IFRS16号)

について、さわりの部分をお話しました。


IFRS16号の改訂は日本のリース基準にも大き

な影響を与えることになります。


<リース取引、資産計上へ 不動産・小売りで影響大きく>

2019/3/8 日経電子版


今後改訂がなされる日本の新リース基準の

ベースとなることから、何回かに渡り、IFRS

16号についてご説明したいと思います。



まず、そもそもIFRS16号はなぜ改訂されたの

か?というお話です。


改訂された理由を結論から申し上げますと



「実質的にはファイナンスリース(資産計

上)なのに、オペレーティングリース(費用

処理)として処理している場合が多かったか

ら」



という事になります。



そもそも、国際的なリース基準はIAS17号

「リース」という基準が適用されていました。


IASとは国際会計基準(International Accou

nting Standards)の略称で、


国際財務報告基準(IFRS:International Fi

nancial Reporting Standards)の前身とな

るものです。


IAS17号では、現行の日本のリース基準と同

様に


ファイナンスリース(資産計上)とオペレー

ティングリース(費用処理)とにわけられて

いました。



そして、ファイナンスリースとオペレーティ

ングリースの区分は以下の観点からなされて

いました。


それは・・・、


「資産の所有に伴う経済価値のほとんどすべ

てが借手に移転したか」


です。


小難しい表現ですが、ざっくり言えば「借手

がその資産を実質的に購入したのと同じか否

か?」ということです。


借手が実質的に購入したのと同様であれば、

それは資産計上をしましょう!というのが、

IAS17号の基本的な考え方です。


ただ、「実質的に購入したのと同様か否か」

をどのように判別するかが問題となります。


そこで、IAS17号では簡単にお伝えすると以

下のような項目で判断していました。


・所有権移転の有無

・リース期間

・リース料の総額

・リース期間終了後の購入権


これらの項目を総合的に判断することにより、

「実質的に購入と同様か否か」を判断してい

ました。


(日本基準の場合には上記の項目について、

数値基準を設けています)



しかし、上記の項目について、実質的に購入

という判断にならないように契約書を調整し

て、


ファイナンスリース(資産計上)に該当しな

いようにすることにするということが多く行

われていました。


資産計上をしないことにより、総資産利益率

や負債比率、資産回転率を改善することが出

来るため、


それをウリとしてリース会社も契約書を調整

することに必死だったということです。



このような基準の穴をついた契約により、実

際は購入したのと同様の取引についても、


資産計上を行わず、費用処理が容認されると

いう状況が国際的にも続いていました。


このような状況を改善することが、基準改定の

一つの要因となっているのです。


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