No.92(2021/11/5): 減資する企業が増えている理由


こんにちは


大門綜合会計事務所スタッフです。


毎週金曜日、会計・財務、税務、監査、内部

統制関連の基礎やTips等をお伝えしています。

92回目の今回はコロナ禍で増加が目立つ企業

の減資についてお伝えします。

先日、会社法や株式会社関連の研修を行った

際に、企業の資本金について言及することが

ありました。

その際に、会社法が制定される前の旧商法の

際には、企業の資本金は

株式会社は1千万円以上、

有限会社の場合には3百万円以上

の資本金が無いと設立出来なかった、という

点をお伝えしました。

旧商法がなくなり、会社法となった現在にお

いては、有限会社は新規に設立は出来なくな

り、

株式会社については1円から設立が可能とな

りました。

旧商法時代には、設立時に1千万円を自己資

金か投資家から集めなければならなかったた

め、

株式会社は、「株式会社」という会社形態で

あるというだけで、ある程度の信用力のある

会社でした。

現在では、上述の通り1円で設立できるため、

株式会社であるだけでは信用力はありません。

しかし、資本金が大きいということは、自己

資金、または他人から資金がそれだけ会社へ

出資されているということになるため、

資本金の額はある程度の信用力の目安となり

ます。

しかし、その資本金の額を減らす会社が、コ

ロナ禍が始まった2020年4月から2021年6月の

間で

上場会社においてだけ見ても、61社あったと

いうことです。(経営財務3513号より)

このうち、資本金の額を1億円以下とする

ケースが9割を占めていたということでした。

ここから見えてくる減資の理由は以下のよう

な理由が考えられます。

①減資による優遇税制の享受

②投資の喚起

③欠損の解消

④その他

<①減資による優遇税制の享受>

法人税法上、資本金が1億円以下であれば、

以下のような税務上の優遇措置を受けられま

す。

・法人税の軽減税率の適用

・交際費の損金算入可能額の増加

・機械等の特別償却または特別控除

・少額減価償却資産の全額損金算入

・外形標準課税の減免

<②投資の喚起>

無償減資により資金を確保した企業について、

配当金を目的とした投資家の投資意欲を喚起

出来るという理由があげられます。

<③欠損の解消>

欠損金を有する会社は業績不振という印象を

持たれ、銀行からの融資条件が不利になった

り、取引先からの信用を悪化させる等の可能

性があるため、

減資により減少させた資本金を欠損の填補に

あてることにより、欠損を解消することがで

きます。

<④その他>

資本金5億円以上の会社においては、会社法

上の会計監査を受ける必要がありますが、減

資により、当該コストを削減することが出来

ます。

このように、コロナ禍で体力の弱まった企業

が増加している昨今においては、資本金で会

社の信用力を示すということよりも、

実質的にコスト改善を行い、体力を蓄えると

いう経営方針を選択する企業も増えてきてい

る傾向にあると言えます。