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DAIMON STAFF

No.91(2021/10/29): 契約資産とは

更新日:2021年12月17日




こんにちは


大門綜合会計事務所スタッフです。


毎週金曜日、会計・財務、税務、監査、内部

統制関連の基礎やTips等をお伝えしています。

91回目の今回は契約資産についてお伝えしま

す。



さて、突然ですが上述した「契約資産」とい

うものをご存知でしょうか。


今までにも何度かご紹介してきた新収益認識

基準に新たに定義されている用語となります。


(そもそもは新収益認識基準の元となってい

るIFRS15号から定義されています。)


そのため、今までの日本の会計においては出

てこなかった概念であり、知らない方も多い

かと思います。



「契約資産」とは何か?の回答にもなります

が、新収益認識基準には「契約資産」は以下

のように定義されています。




「契約資産」とは、


企業が顧客に移転した財またはサービスと交

換に受け取る対価に対する企業の権利(ただ

し、顧客との契約から生じた債権を除く)

(収益認識会計基準10項)




またよくわからない定義ですね笑。



新収益認識基準はIFRS15号を元に作成されて

いるため、英語を直訳したようなよくわから

ない用語が結構多く、この契約資産もその中

の一つです。



そのため、上記の定義を可能な限りわかりや

すい事例でご説明しようと思います。



1億円で建物を建設する工事を受注し、全工

事が終了した時点で1億円が受け取れる契約

だったとします。


その場合に、工事が6割進んだ時点で会計期

末が来た場合には、その時点おける契約資産

は6千万円となります。



上述の基準の定義において、契約資産とは

「企業が顧客に移転した財またはサービスと

交換に受け取る対価に対する企業の権利」


とありました。


事例の工事においては1億円の受注のうち、6

割の工事が終わっているので、基準の定義に

おける


「顧客に移転した財またはサービス」は契約

額の1億の6割である6千万円分は提供されて

いるため、


サービスと交換に受け取る対価としての企業

の権利は6千万円となるからです。



では、工事が100%完了し、まだ1億円の受取

がなされていない時点で会計期末が来た場合

には、契約資産はいくらになるでしょう?



答えは契約資産はゼロ円となります。




6割終了の例から考えると契約資産は1億円な

のでは?と思った方もいるかもしれません。


もう一度、定義を確認してみると、最後に

「(ただし、顧客との契約から生じた債権を

除く)」


という文言があります。



またまたわかりづらい文言なのですが、この

「顧客との契約から生じた債権」は基準に以

下のように定義されています。




「顧客との契約から生じた債権」とは、


企業が顧客に移転した財またはサービスと交

換に受け取る対価に対する権利のうち無条件

のもの(すなわち、対価に対する法的な請求

権)をいう(収益認識会計基準12項)


と定義されています。



無条件というのがわかりづらいのですが、意

味としてはサービスを全て提供し終わってお

り、あとは入金を待つだけのもの


という意味になります。



6割工事が終わった時点においては、残りの4

割のサービスを提供する必要があり、無条件

ではないため、6割分が契約資産となり、


10割工事が終わった時点では、サービスは提

供し終わっており、あとは入金を待つだけで

あるため、


契約資産はゼロ、顧客との契約から生じた債

権が1億円となるのです。



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