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No.203(2025/1/24):従業員負担の社宅家賃の非課税売上げ計上漏れに留意

DAIMON STAFF


こんにちは


大門綜合会計事務所スタッフです。


毎週金曜日、会計・財務、税務、監査、内部統制関連の基礎・Tips等をお伝えしています。

(このコラムは大門綜合会計事務所スタッフによるメールマガジンの転載となります。

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第203回の今回は、「従業員負担の社宅家賃

の非課税売上計上漏れに留意」というテーマ

でお伝えします。


以下のような記事がありました。

<従業員負担の社宅家賃の非課税売上げ計上漏れに留意>

税務通信3835号(2025年1月20日発行)


要約すると・・・、


・法人が不動産会社等から借りた社宅に従業

員を入居させ、その家賃の一部を従業員に負

担させる場合、法人が受け取る賃料は消費税

法上「非課税売上」に該当する。


・しかし、この非課税売上の計上漏れがしば

しば発生している。


・国税庁は令和5年4月以降の申告書確認表に

注意喚起の項目を追加した。


・計上漏れの原因は、主に支払家賃との相殺

処理や給与天引きの場合の誤処理となる。


・正しい仕訳処理と申告書確認表の活用が求

められている。


というもの。


背景

法人が不動産会社等から借りた社宅に従業員

を入居させ、その家賃の一部を従業員に負担

させるケースが多くの企業で見られます。


この場合、法人が従業員から受け取る家賃は

消費税法上「非課税売上」に該当します。


しかし、この非課税売上の計上漏れが散見さ

れており、国税庁も注意喚起を行っています。

令和5年4月以降の申告書確認表には、「従業

員から受け取る社宅家賃等」を非課税売上と

して含めているか確認する項目が新たに加わ

りました。


消費税法における社宅家賃の扱い

住宅の貸付に関する家賃は、消費税法別表第

2の規定により「非課税」とされています。


この非課税規定は、法人が不動産会社等から

借りた社宅を従業員に転貸する場合にも適用

されます。具体的には以下のとおりです。


1. 法人が不動産会社に支払う家賃

  法人が不動産会社等に支払う社宅家賃は

「非課税仕入れ」に該当します。ただし、こ

の支払家賃は仕入税額控除の対象にはなりま

せん。


2. 従業員から受け取る家賃

  従業員が法人に支払う社宅家賃も「住宅

の貸付」として非課税売上に該当します。


計上漏れの主な原因

従業員から受け取る社宅家賃については、次

のような処理が非課税売上の計上漏れを招く

要因となっています。


1. 支払家賃との相殺処理

法人が従業員から受け取った家賃を「支払家

賃(非課税仕入れ)」の減額として処理する

ケースです。


例えば、以下のような仕訳を行った場合、非

課税売上の計上が漏れるリスクがあります。


誤った処理例

- 借方:現金預金 20,000円

- 貸方:支払家賃 20,000円


この場合、帳簿上の支払家賃が減少するだけ

で、消費税申告書上の非課税売上として計上

されません。結果として、課税売上割合が過

大に算出され、仕入税額控除の計算に誤りが

生じる可能性があります。


2. 給与天引きの場合の注意

従業員が負担する家賃を給与から天引きする

場合も同様に、非課税売上として計上する必

要があります。給与控除の一部として処理さ

れることで、非課税売上計上の意識が薄れ、

ミスが発生しやすくなります。


適切な処理方法

非課税売上の計上漏れを防ぐためには、以下

のような正しい仕訳を行うことが重要です。


正しい処理例

- 借方:現金預金 20,000円

- 貸方:雑収入(受取家賃) 20,000円


このように、従業員から受け取る家賃を「雑

収入(受取家賃)」として非課税売上に含め

ることが求められます。


国税庁の対応

国税庁は令和5年4月以降の申告書確認表に、

以下の確認内容を追加しました。


- (非課税売上額に)次の金額を含めていま

すか。

1. 有価証券の譲渡対価の5%相当額

2. 土地等の譲渡対価の金額

3. 受取利子の金額

4. 集団投資信託の収益の分配金

5. 従業員から受け取る社宅家賃等


これにより、法人が申告漏れを防止する仕組

みが強化されています。



まとめ

- 法人が従業員から受け取る社宅家賃は、消

費税法上「非課税売上」に該当します。


- 支払家賃との相殺処理や給与天引き処理に

よる計上漏れが散見されており、国税庁も注

意喚起を行っています。


- 正しい仕訳処理を行い、非課税売上を適切

に計上することが重要です。


これらのポイントを踏まえ、申告時には申告

書確認表を活用して慎重に確認するようにし

て頂ければと思います。


それでは、今日はこの辺で。

良い週末をお過ごしください。

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