こんにちは
大門綜合会計事務所スタッフです。
毎週金曜日、経営、会計・財務、税務、監査、内部
統制関連の基礎やTips等をお伝えしています。
(このコラムは大門綜合会計事務所スタッフによる
メールマガジンの転載となります。)
176回目の今回は、2023年3月期における会計
不正の動向に関しての情報をご紹介します。
以下のような情報が公表されました。
<経営研究調査会研究資料第10号「上場会社
等における会計不正の動向(2023年版)」の
公表について>
2023/07/28 日本公認会計士協会(JICPA)
引用、要約すると・・・
・2023年3月期には、34社が会計不正の事実
を公表しており、特にスタンダードとグロー
ス市場での増加が見られた
・同資料では、会計不正の類型を主に「粉飾
決算」と「資産の流用」に分類
・粉飾決算は、経営者等が利益調整を目的に
行う可能性があり、会社業績を増加させたい
欲求などが原因となっている場合が多い
・資産の流用は、いわゆる横領などが該当。
会社の従業員により行われ、比較的少額であ
ることが多い
・不正の類型で見ると、公表された会計不正
のうち75.0%が粉飾決算に該当。中でも「売
上の過大計上」や「架空仕入・原価操作」な
どの手口が比較的多かった
・内部通報による発覚が増加。2023年3月期
単体では、不正件数の26.1%が内部通報によ
るもので、これは前年より大きく上昇してい
る
・役員・管理職が主体となる不正のケースが
多く、特に共謀して不正を行う例が目立つ。
・これには経営者等による業績達成のプレッ
シャーや、資産の窃盗・キックバック受領と
いった背景がある
というもの。
内部通報による発覚が増加しており、内部通
報制度の強化や通報のハードルの低下、それ
に伴う不正の早期発見や未然防止の重要性が
再認識されていることを意味します。
JICPAは、内部通報が「不正の早期発見、未
然防止の有効な手段」として、今後の一層の
利用促進が望まれるとの立場を取っています。
一方で、役員や管理職が関与する不正のケー
スの増加は、共謀による内部統制の有効性の
低下や、
以前ご紹介した経営者による内部統制の無効
化が増加していることを示していると言えま
す。
今回の報告から、内部通報制度の充実と、経
営者のリーダーシップや倫理意識、そして組
織の内部統制の有効性の向上が問われている
状況と言えるでしょう。
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