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No.158(2023/3/31): カルテル問題とリーニエンシー制度


こんにちは


大門綜合会計事務所スタッフです。


毎週金曜日、会計・財務、税務、監査、内部統制関連の基礎・Tips等をお伝えしています。

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158回目の今回は、昨日ニュースで報じられ

た電力各社のカルテル問題についてお伝えし

ます。



昨日、公正取引委員会から中国電力、中部電

力、九州電力に対して計1010億円の課徴金納

付命令が出されました。


<電力自由化、骨抜きに「厳罰」 3社に課徴金1010億円>

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUE22C4M0S3A320C2000000/

2023年3月30日 日経電子版


引用、要約すると・・・、



・公正取引委員会が30日、中国電力、中部電

力、九州電力に計1010億円の課徴金納付命令

を出した


・過去最高額の処分からは自社の利益を優先

し、自由化政策の基となる市場競争に背を向

ける姿勢が浮かぶ


・中部電が同日、取り消しを求めて提訴する

と発表しており、今後は「合意形成」の有無

が焦点になる



というもの。



こちらの問題は、昨年の12月に発覚しており、

公正取引委員会から事前の通知がなされてい

ました。




<カルテル「申告制」の威力 処分減免、関電は課徴金ゼロ>

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUE018FJ0R01C22A2000000/

2022年12月16日 日経電子版



このニュースの興味深いところはカルテル違

反を行っても、違反を自主申告すれば課徴金

の減免を受けることが出来る「リーニエン

シー」制度という制度があることです。


リーニエンシー制度とは、カルテルや談合に

関与した企業が公正取引委員会に「自首」し

た場合に、課徴金を減額する制度です。


すなわち、企業が自分たちが関与した不正行

為を公正取引委員会に自ら報告すると、


課徴金が減額されたり、刑事告発を免れたり

することができるのです。


対象は早い者順で最大5社、公取委の調査開

始以降は3社まで。減額率は最も早く報告し

た企業が100%、2位が最大60%、3~5位が最大

30%となっているようです。


二つ目の記事にもありますが、今回のカルテ

ルについては、主導したのは関西電力である

にもかかわらず、


最初にカルテルを行ったことを公取委に打ち

明けたことで、リーニエンシー制度に沿って

課徴金は全額免除となりました。



このリーニエンシー制度を知った時、真っ先

に経済学におけるゲーム理論の代表的な例で

ある「囚人のジレンマ」を思い出しました。


(「囚人のジレンマ」については、いつかお

伝えしようと思います。)




いずれにせよ、カルテル行為は、市場競争を

妨げるだけでなく、消費者に不利益をもたら

すものとなります。


公正な市場競争があるがゆえに、消費者はよ

り良いサービスや商品をより安く手に入れる

ことができるものであり、


カルテル行為はそれを阻害するものであるた

め違法行為とされているのです。

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