No.118(2022/6/3): 会計不正の手法~原価の先送り~




こんにちは


大門綜合会計事務所スタッフです。


毎週金曜日、会計・財務、税務、監査、内部

統制関連の基礎やTips等をお伝えしています。


(このコラムは大門綜合会計事務所スタッフによる

メールマガジンの転載となります。)

118回目の今回は経営財務に紹介されていた

会計不正の方法を一部ご紹介します。

経営財務の2022年5月23日号に会計不正の構

造について紹介されている記事がありました。

こちらの記事を要約すると、以下のような会

計不正の手口が紹介されています。

①仕入計上の先送り

②経費計上の先送り

③棚卸資産低下評価損の不計上

これらの処理は全て費用を過少に計上するこ

とにより、その期の利益を大きく見せようと

する不正となります。

当然、会計不正は認められませんが、様々な

方法で会計監査人の目をごまかすことにより

実行されたものということです。

今回は①について見ていきましょう。

①仕入計上の先送り

「当期期末近くの棚卸資産の仕入取引3億円

のうち、2億円について、翌期に仕入高計上

(同時に買掛金計上)を行った。

当該棚卸資産は、Y社の貸借対照表上の当期

末残高に1億円の棚卸資産として計上されて

おり、同額が当期の費用(売上原価)の過少

計上となった。

なお、監査法人により、該当の仕入先に対し

て、買掛金残高の確認手続が実施されたが、

Y社側より仕入先に対して、

「確認の金額は、Y社が仕入先から仕入れた

金額(総額3億円)のうちの一部(1億円部

分)についてのみの確認である」旨を連絡し、

当該仕入先もその理解のうえで、(1億円に

ついて) 一致している旨の回答を監査法人

に対して行った。」

というもの。

会計監査人は、重要な財務項目について、監

査される会社(被監査会社)の取引先等の外

部の会社に対して、確認状を送付し、

被監査会社以外からの証拠(外部証拠)を入

手することにより、被監査会社の財務状態が

正しいかどうかを検証する手続を実施します。

これを確認手続と言います。

上記の例では、買掛金残高について重要な項

目と考え、仕入先に対して確認状を送付した

のでしょう。

上記の例であれば、通常、仕入先は「Y社に

対する買掛金残高は3億円である」、との確

認状を返送することとなりますが、

Y社から取引先へ

「3億円のうちの一部である1億円についのみ

の確認が監査法人からなされているので、1

億円と回答してください。」

と連絡したのでしょう。

そのため、確認状には1億円との回答がなさ

れ、結果として買掛金、及び売上原価が過少

に計上されたのです。

これにより、最終利益は2億円過大に計上さ

れ、見事に粉飾の目的は達成されました。

このように、会計監査人は可能な限り客観的

で強い証明力を持つ証拠を得ようと手続を行

いますが、

正しい金額を返答すると期待される外部企業

と共謀することにより、いとも簡単に不正が

行われてしまうことがあるのです。

(今回の例は仕入先が共謀したのか、単純に

Y社の言葉を真に受けただけかは不明です

が・・・)