No.107(2022/3/4): 収益認識基準では税込処理が認められるのか?


こんにちは


大門綜合会計事務所スタッフです。


毎週金曜日、会計・財務、税務、監査、内部

統制関連の基礎やTips等をお伝えしています。

107回目の今回は、昨年2021年の4月から導入

された収益認識基準における消費税の会計処

理についてお伝えします。

収益認識基準については過去に何度か代表的

な収益の認識方法にかかる論点についてお伝

えしてきました。

今回は収益の認識方法とは若干異なりますが、

会計処理全般に関係するお話となります。

題名にもありますが、結論から申し上げます

と、収益認識基準においては税込処理は認め

られていません。

収益認識基準においては、収益は"取引価格"

のうち履行義務を充足した部分について収益

を認識する、との記載があり、

その"取引価格"とは「財又はサービスの顧客

への移転と交換に企業が権利を得ると見込む

対価の額」

とされています。(収益認識会計基準 第8

項)

そして、

「我が国の売上に係る消費税等は、第三者に

支払うために顧客から回収する金額に該当す

ることから、取引価格には含まれない」

と明確に基準の中で消費税は認識すべき収益

に含まれないとの記載があります。(収益認

識会計基準 第212項)

すなわち、認識すべき収益(=取引価格)は

企業が得ると見込まれる対価の額と定義され

ているため、

最終的に国へ納付することになる消費税は、

計上すべき収益の定義に含まれず、

それを収益として計上する形となる税込処理

は認められない

というロジックとなります。

確かに、税込処理の場合には、税抜で100万

円の売上があった場合には、売上高勘定に計

上されるのは

消費税も含んだ110万円となり、消費税の10

万円部分は、財又はサービスの顧客への移転

と交換に企業が得た権利ではありません。

言われてみればそうですが、一般的に税込処

理を行っている企業は、基準期間の売上高が

1,000万円以下の免税事業者等であり、

免税事業者は受け取った消費税は国へ納付す

る必要はなく、受け取った消費税は全額自社

のものとすることが出来ます。

にも関わらず、基準においては、「税込方式

を認めると"取引価格"の定義に対する例外を

設けることになるため、

代替的な取り扱いは定めない」とし、実質的

に税込処理を認めないと明文化しているので

す。

収益認識基準は、監査法人や公認会計士の会

計監査を受けるような大企業が適用すべき基

準ですので、

売上が1,000万円以下の免税事業者の方は関

係が無いかと思われますが、

会計監査が要求される社会医療法人や、任意

監査を行っている組合等においては、留意す

る必要がある点となります。

なお、上述の点は監査法人においても現時点

では方針がまとまっていないところが多く、

税込経理をしていたからと言って、必ずしも

適正意見が出ないという訳では無いようです。

しかし、監査法人と揉める原因となる可能性

がありますので、

監査を受けている企業の方は、事前に監査法

人に上記の点を確認をしておく必要があるで

しょう。