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DAIMON STAFF

No.102(2022/1/21): 売上の半分以上が架空売上!?

更新日:2022年3月3日


こんにちは


大門綜合会計事務所スタッフです。


毎週金曜日、会計・財務、税務、監査、内部

統制関連の基礎やTips等をお伝えしています。


102回目の今回は、とある上場会社において、

不正に関する特別調査委員会の中身の一部が

公表されたため、それについてお伝えします。



<特別調査委員会による調査の継続、2022年3月期第2四半期報告書の提出遅延及び当社株式の監理銘柄(確認中)指定の見込みに関するお知らせ>

2022年1月14日 某社IRニュース


要約すると・・・、


・同社は不適切な会計処理が行われていた疑

念があることを認識したため、特別調査委員

会を設置し、調査を実施中


・調査の過程で、元代表取締役及び元取締役

が関与する重大な経営者不正が発見されたと

の報告があった


・報告によれば、①架空売上、②売上の前倒

し計上、③架空外注費計上、④①~③を実現

するための偽装工作が多数発見された


・前期決算においては、売上の半分超の55%

が架空売上であった


・2021年7~9月期の四半期報告書を17日の期

限までに提出できない見込みとなった


・提出期限までに提出出来ない見込みを開示

した場合には、東京証券取引所は同社株を監

理銘柄に指定される見込み



というもの。



売上の半分以上が架空売上というのは、上場

会社としてはなかなか衝撃的な不正です。


そして、この不正にはこれまでにもお伝えし

てきた不正に関する要素が勢ぞろいしていま

す。



以前もお伝えした、不正のトライアングル

(3要素)としては(1)動機、(2)機会、(3)正

当性がありました。


今回の(1)動機としては、株価を維持するた

めに架空売上を行うという経営者の動機があ

り、


(2)経営者不正であるため、経理に指示して

不正を行うことが出来るという機会があり、


(3)株価を維持するため、という経営者とし

ての正当性(決して正当かしてはならないも

のですが)


が揃っています。



上場会社ですから、内部統制も構築し不正が

起こらないように業務フローが整備されてい

たはずです。


しかし、こちらも以前お伝えしましたが、経

営者が内部統制を無視した場合には内部統制

は機能しないという


内部統制の限界をまさに今回露呈してしまっ

ています。



さらに、循環取引は客観的な証拠がそろって

いるため、外部監査でも発見しにくいと以前

お伝えしましたが、


今回の取引も循環取引ではありませんが、発

覚を逃れるために、役員が売上金を自己資金

で入金させており、


売上金が入金されているという客観的な証拠

が揃ってしまっています。そのため、外部監

査においても不正が発覚しなかったのでしょ

う。




外部会計監査人はBig4と言われる大手監査法

人です。


(おそらく架空の)売上の契約書と(おそら

く本物の)預金通帳等の入金証憑が確認出来

れば、


通常であればその売上は本物の売上であると

信じる人がほとんどでしょう。


逆にそれが虚偽であると主張することは、専

門家とは言え外部の人間が立証することはな

かなか困難であると言えます。

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