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4つの監査意見

更新日:2021年7月18日

こんにちは


大門綜合会計事務所スタッフです。


毎週金曜日、会計・財務、税務、監査、内部統制関連のTips等をお伝えしています。


64回目の今回は監査意見についてお伝えした

いと思います。

前々回の第62回において、KAMの適用につい

てお伝えしました。

Key Audit Mattersの略で日本語では「監査

上の主要な検討事項」を意味し、

監査報告書において監査人が主に検討した内

容を記載することで、監査報告書の情報価値

や監査の信頼性を高めることが目的でした。

そもそもKAMが適用された理由は、監査報告

書が報告書とは名ばかりで、

以下の4つの意見のどれかが記載されるのみ

である、いわば意見書で、紙ペラ1~2枚の

ものとなります。

4つの意見とは・・・、

①無限定適正意見

②限定付適正意見

③不適正意見

④意見不表明

これらの意味は以下の通りとなります。

①無限定適正意見

これは一言で言えば、「財務諸表の数値を信

用することができます」という意味の意見と

なります。

小さなミス等はあるかもしれませんが、全体

として財務諸表利用者の判断を妨げるほどの

ミスはありませんよという意見で、

ほとんどの会社はこの意見をもらうために、

仮に大きなミスがあった場合には数値を修正

してこの意見をもらうよう努力をします。

②限定付適正意見

簡単に言えば、

「全体として会社の数値を信用して大丈夫で

すが、一部に重要なミス等があるので、財務

数値を利用するにはその点に留意が必要」

という意見です。

これは、財務諸表利用者に影響を与えるよう

なミスや会計ルール違反があるので、その点

について監査意見の中で注意を促しています。

ただし、その点以外は信用して大丈夫、とい

う意見です。

企業側としては、監査法人にミス等の指摘を

受けたが、当該数値の修正がなんらかの理由

により出来なかった場合で、

かつ、その金額が「財務諸表全体を信用でき

ない」とするほど重大ではなかった場合に上

記の意見が表明されることが多いと言えます。

③不適正意見

簡単に言えば、「この会社の財務数値は信用

できません。」というもの

この意見は、財務諸表に致命的な欠陥がある

場合に出されます。この意見がついていたら、

誰もこの監査報告書を信用してくれません。

銀行融資が下りない可能性もあり、上場会社

であれば上場廃止基準に抵触します(直ちに

上場廃止になるわけではありません)。

④意見不表明

簡単に言うと、監査人が「財務数値が正しい

ことを示す根拠資料を入手できなかった」と

いうものになります。

そんなの意見となるのか?という意見ですが、

監査上必要な手続がなんらかの事情で実施で

きなかった場合等、

監査人側で期限までに結論を出せなかった場

合に記載されます。

結果的に財務数値について、信用して良いと

も信用できないとも「意見を表明しない」と

いう意見なので、

不適正意見と同様に財務諸表が信用できない

ものとなり、こちらも上場廃止基準に抵触し

ます。

③の不適正意見を出すには、監査人も不適正

であることを示す根拠を入手する必要があり

ますが、

そんな根拠をわざわざ監査人に提供する企業

は通常ありません。

そのため、③の不適正意見はほとんど目にす

ることはありませんが、④の意見不表明は頻

繁ではありませんが、たまに目にします。

JPXのHPにも直近の②~④の意見が表明され

た企業のリストが記載されていますが、②と

④はありますが③は無いようです。

<不適正意見・意見不表明・限定付適正意見等一覧>

https://www.jpx.co.jp/listing/others/adverse-opinion/archives-03.html

日本取引所グループ

上述のように、不適正意見の場合には適正で

はないことを示す根拠が必要ですが、その根

拠を監査人が入手した場合には不適正意見と

なり、

その根拠を監査人に示さず、監査人が必要な

手続を実施出来ない場合には意見不表明とな

るのです。



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