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DAIMON STAFF

No.61(2021/3/26):原価回収基準

更新日:2022年12月16日

こんにちは


大門綜合会計事務所スタッフです。


毎週金曜日、会計・財務、税務、監査、内部統制関連の基礎・Tips等をお伝えしています。

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61回目の今回も、いよいよ強制適用が目前に

迫った新収益認識基準についてお伝えします。



以前もお伝えした通り、新収益認識基準は20

21年4月以降、上場会社で強制適用になりま

す。


今回も当該基準の中でも実務上、論点となり

やすい点をお伝えします。




2020年3月13日のメルマガで以下の点をお伝

えしました。


・新しい収益認識基準が作成され、2021年4

月以降に始まる事業年度において、上場会社

で強制適用となること


・今後は非上場の会社でも適用されることが

予想されること



・新収益認識基準は


①契約の識別


②履行義務の識別


③取引価格の算定


④履行義務の取引価格への配分


⑤履行義務の充足による収益の認識


の5つのステップで収益を認識するというこ



今回は、工事契約において新たに適用される

「原価回収基準」についてお伝えします。




現行の会計基準においては、工事契約につい

て工事進行基準と工事完成基準が適用されて

いる


というのはご存知かと思います。


・工事進行基準・・・工事進捗度を合理的に

見積もり、当該進捗度に応じて売上を計上す

るというもの


・工事完成基準・・・工事進捗度を見積れな

い一定の場合に、完成した時点で売上を計上

するというもの


になります。



従来の基準においては、工事進捗度が合理的

に見積れない場合や、短期の工事、金額の小

さな工事等には


工事完成基準を適用し、工事が完了した時に

売上を計上するということが出来ました。


しかし、新収益認識基準においてはそれが出

来なくなり、原価回収基準で収益を認識する

こととなります。



では、原価回収基準とはどのような基準なの

でしょうか。



原価回収基準とは・・・、


履行義務を充足する際に発生する費用のうち、

回収することが見込まれる費用の金額で収益

を認識する方法


になります。(収益認識会計基準 第15項)



イメージがつくでしょうか。



簡単に言えば、発生した費用と同額の売上を

計上するというものになります。



すなわち、新収益認識基準においては、原則

として工事契約で発生する総原価を見積り、


当期に発生した原価の割合を請負金額(総売

上高)に乗じて計上することになりますが

(現行の工事進行基準と同様のイメージ)


総原価が見積れない場合には原価回収基準に

より、当期に発生した原価と同額の売上を計

上しなさい


というのが新収益認識基準となります。




具体例を記載すると・・・



・工事の請負金額は1億円

・総原価を合理的に見積れない状況

・当期の工事原価の発生額は5千万円

・発生した原価5千万円は全額回収が見込め


という状況の場合、当期の売上はいくらにな

るでしょうか。



簡単ですね。

発生した原価と同額の売上を計上するので、

当期の売上は5千万円になります。



では、翌期に原価が4千万円発生し、工事が

完成した場合には、翌期の売上はいくらにな

るでしょう?


この場合は、


工事が完成しているので売上は4千万円では

なく、請負金額の1億円から前期に売上計上

した5千円を差し引いた5千万円になります。



いかがでしょう?

難しくはないですよね。


ただ、知らないと「原価回収基準!???」


という感じになってしまうかと思いますので、

今回、簡単にご紹介しておきました。


これで「原価回収基準」という言葉を聞いて

も、頭が「?」になることは無いでしょう。


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