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今後の商社の売上

更新日:2021年7月18日

こんにちは


大門綜合会計事務所スタッフです。


毎週金曜日、会計・財務、税務、監査、内部統制関連のTips等をお伝えしています。

54回目の今回も、いよいよ強制適用が目前に

迫った新収益認識基準についてお伝えします。




以前もお伝えした通り、新収益認識基準は20

21年4月以降、上場会社で強制適用になりま

す。


今回も当該基準の中でも実務上、論点となり

やすい点をお伝えします。




2020年3月13日のメルマガで以下の点をお伝

えしました。


・新しい収益認識基準が作成され、2021年4

月以降に始まる事業年度において、上場会社

で強制適用となること


・今後は非上場の会社でも適用されることが

予想されること



・新収益認識基準は


①契約の識別


②履行義務の識別


③取引価格の算定


④履行義務の取引価格への配分


⑤履行義務の充足による収益の認識


の5つのステップで収益を認識するというこ




前回は上記のステップの中で、実務上論点と

なりやすい点の一つとして②履行義務の識別

方法についてお伝えしました。


今回は、上記の5ステップとは別の観点です

が、論点となりやすい本人と代理人の区分に

ついてお伝えします。



本人代理人の区分については、新基準の適用

指針の設例に記載がありますので(設例17)

抜粋しますと・・・、


前提

・A社はウェブサイトを運営しており、顧客

は当該ウェブサイトを通じて、多くの供給者

から製品を直接購入することができる


・A社は、B社(供給者)との契約条件に基づ

いて、B社の製品Xを当該ウェブサイトを通じ

て販売する


・その場合、A社は製品XをB社からの仕入価

格9千円に1千円上乗せした価格1万円で販売

できる


・製品Xの販売価格はB社によって決定されて

いる


・A社は、注文が処理される前に顧客に支払

を求めており、すべての注文について返金は

不要である


・A社は、顧客に製品Xが提供されるように手

配した後は、顧客に対してそれ以上の義務を

負わない



少々長いですが、このような場合、A社が1万

円の製品Xを販売した場合には売上はいくら

になるでしょうか?



答えは売上は1万円ではなく1千円となります。



その理由は以下の通りです。



①A社が運営するウェブサイトは、B社が製品

を提供し、当該製品を顧客が購入する市場で

ある。


すなわち、A社は製品Xについては製品X以外

の他の財又はサービスの提供を顧客に約束し

ていない。



②A社は、どの時点においても顧客に提供さ

れる製品Xの使用を指図する能力を有してお

らず、


製品Xが提供される前に製品Xを支配していな

い(指図権、および支配権はB社が有してい

る)



③A社は、顧客に製品Xを提供するという約束

の履行に対して主たる責任を有しておらず、

責任を有しているのはB社である


④在庫リスクを負っているのはA社ではなくB

社である


⑤価格決定の裁量権もA社ではなくB社が保有

している。



上記のような場合には、製品Xについての責

任を負っているのはA社ではなく、B社であり、


A社は製品Xを販売するWebサイトをB社に提供

しているのみであるため、製品Xの販売価額

全額を売上計上することはできないのです。


その代わり、Webサイト使用料としての1千円

を売上として計上することはできる、という

お話となります。





会計をかじっている方はご存知かと思います

が、上記の考え方は、日本における商社ビジ

ネスに大きな影響を及ぼします。


商社は、上記設例におけるA社のような、仲

介的な役割を担っているため、今まで1万円

で売上を計上していたものが、


今後は1千円のみの売上となってしまう可能

性が高いのです。


そのため、新基準導入により売上高が激減す

る可能性があると言われているのです(純利

益には影響はありません)。


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