こんにちは
大門綜合スタッフです。
毎週金曜日、会計・財務、税務、監査、内部統制関連のTips等をお伝えしています。
41回目の今回はコロナの休業要請により発生
した損失を特別損失に計上できるか否か
という点を検討した記事がありましたのでご紹
介します。
<休業要請による損失は特別損失に計上できる?~新型コロナウイルスが会計に与える影響~>
経営財務 No.3478 (2020年10月19日 Webでの閲覧は会員のみ)
要約すると・・・、
・上場企業の2020年4~6月期決算において,
従来は見られなかった決算処理が相次いで発
表された
・新型コロナウイルスの影響による店舗の休
業や工場の稼働率低下に伴うコストを特別損
失に計上するというもの
・日本経済新聞によれば,上場企業2,088社
(金融除く)の特損は合計7,000億円強と,
過去5年で最も多い
・コロナに起因する特別損失を発表した会社
で大きい会社は以下の通り
日産自動車 393億円 操業停止による損失
マツダ 205億円 操業停止による損失
スズキ 154億円 コロナ関連損失
三越伊勢丹HD 123億円 コロナ関連損失
三井不動産 118億円 コロナ関連損失
阪急阪神HD 101億円 コロナ関連損失
というもの。
記事の中では、上記に関連して特別損失の定
義についても再確認しています。
特別損失と聞いて、どんな損失かイメージが
つきますでしょうか?
「そんなのわかってるよ!」
「特別な損失でしょ!?」
と言う声も聞こえそうですが、念のためおさ
らいしておきます。
特別損失とは・・・、
「日常反復的に行われる会社の営業活動や金
融活動以外から発生した臨時的な損失のうち,
会社の企業規模等から勘案して金額的規模の
大きな損失」のことです。
企業会計原則および企業会計原則注解は,以
下を特別損失の例として示しています。
・固定資産売却損失
・転売以外の目的で取得した有価証券の売却損
・災害による損失
かなり昔に簿記を勉強された方の中には
「過年度修正も特別損失でしょ?」
と記憶されている方もいらっしゃるかと思い
ますが、会計上、現在は過年度修正は特別損
失には計上できません。
現在は過年度遡及会計基準が適用されている
ため対象外となり、過年度の修正は過年度の
財務諸表の修正を行い、
当期においては利益剰余金の調整項目となり
ます。
さて、上述の記事における休業による損失に
ついてですが、
定義に照らせば、以下のようなものは特別損
失として計上が可能なはずです
・少なくとも2020年においては新型コロナウ
イルスを原因とする営業損失は臨時的な事象
と考えられ
・損失等の金額が会社の事業規模等から著し
く大きいと考えられる場合には特別損失の要
件を満たす
しかし、以下のようなものはどうでしょう?
・収入の減少に伴う店舗の減損損失
・収入の減少に伴う店舗の閉鎖に伴う損失
・収入の減少に伴う人員整理に係る特別退職
金等
なんとなく、コロナの影響だから特別損失に
計上できそうですが、実はそう簡単ではあり
ません。
なぜなら、新型コロナウイルスによる影響分
を把握することが難しいからです。
すなわち、収入減少といっても,どこまでが
新型コロナウイルスの影響によるものかの見
極めをはじめ,
対応する固定費を客観的に区分把握すること
は容易ではないのです。
今回は紙面の都合上、この辺で終わりますが、
なんでもかんでもコロナの影響で特別損失に
計上することはできない
という事だけ、理解して頂ければと思います。
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