
こんにちは
大門綜合会計事務所スタッフです。
毎週金曜日、会計・財務、税務、監査、内部
統制関連の基礎やTips等をお伝えしています。
99回目の今回は近年、新聞等でも紙面によく
目にするTCFDについてお伝えします。
TCFDとは「気候関連財務情報開示タスクフ
ォース( Task Force on Climate-related Fi
nancial Disclosures )」の略称となります。
これを見ても、なんのことやら?という感じ
ですよね。
簡潔に言うと、"企業の気候変動への取組み
や影響に関する財務情報の開示"について、
提言を行うためのタスクフォース(チームの
ようなもの)です。
具体的には、
(ガバナンス)
企業がどのようにして自社の気候変動に関す
るリスクや把握をしているのか?
(戦略)
気候関連のリスク及び機会が組織のビジネ
ス・戦略・財務計画へどのような影響を及ぼ
すか
(リスク管理)
気候関連リスクについて、どのように識別・
評価・管理しているか
(指標と目標)
気候関連のリスク及び機会を評価・管理する
際にどのような指標や目標を使用しているか
について開示するためのルール作りや提言を
行っています。
そして、これがなぜ紙面を賑わせているかと
いうと、
2022年春から東京証券取引所のプライム市場
に上場する企業で、気候リスク情報の開示が
実質的に義務付けられるからです。
想定されるのは、例えば「企業が事業活動で
どのくらい温暖化ガスを出しているか」や
「気温が上昇すると経営にどんな影響が出る
のか」等といった開示となりそうです。
しかも、温暖化ガス排出量については、TCFD
は企業単体だけでなく、
原材料の調達から製品使用、従業員の出張な
ども含めた取引網全体の排出量を開示するこ
とを推奨しており、
企業にとっては非常に大きな負担になると想
定されます。
上記について、
「うちはプライム上場企業ではないから関係
ないや」と思った方もいらっしゃるかもしれ
ません。
しかし、個人的にはこの流れは上場企業以外
にも影響を及ぼすと考えています。
なぜなら、今後は上場会社でなくとも、
「気候変動問題に取り組んでいる企業はビジ
ネスレジリエンスが高く、パフォーマンスも
高い水準を発揮するであろう」
という考え方が一般的になると考えられるか
らです。
また、TCFDに賛同を表明しTCFD公式ウェブサ
イトにTCFD Supportersとして社名が掲載さ
れている上場会社は
2021年3月末時点で259社あり、そのうち銀行
は22社、金融業は14社あり、メガバンクから
地銀まで名を連ねています。
上述の理由により、今後の銀行の融資判断の
指標の中にも、TCFDと同様の指標が組み込ま
れる可能性もあると考えられます。
そのため、プライム上場企業でなくとも、TC
FDに関する対応を行うことの重要性は高まっ
て行くと考えられるのです。
本コラムの今年の掲載は今回が最後となります。
最後までお読み頂きありがとうございました。
皆様、良いお年をお迎えください。
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