こんにちは
大門綜合会計事務所スタッフです。
毎週金曜日、会計・財務、税務、監査、内部
統制関連の基礎やTips等をお伝えしています。
98回目の今回は先週発表された日銀短観につ
いてお伝えします。
<大企業景況感、製造業横ばい 12月日銀短観>
2021年12月13日 日経電子版
要約すると・・・、
・日銀が13日発表した12月の短観は全規模・
全産業の景況感を示す指数がプラス2となっ
た
・新型コロナウイルスの感染拡大後で初めて
プラス圏に浮上
・緊急事態宣言の解除で非製造業が持ち直し
たが、資源高による仕入れ価格の上昇を販売
価格に転嫁する動きは鈍い
・国内景況感は正常化に向かい始めているが、
コロナの変異型「オミクロン型」感染拡大へ
の懸念などがくすぶり、改善の勢いは無い
というもの。
おさらいになりますが、日銀短観は以下のよ
うなものです。
①日銀が全国の企業約1万社を対象として、3
か月ごとに実施しているアンケート調査
②調査項目は、
(1)「企業が自社の業況や経済環境の現
状・先行きについてどうみているか」などの
項目(判断項目)
(2)「売上高や収益、設備投資額といった
事業計画の実績・予測値など」(年度計画)、
(3)物価見通し
(4)新卒者採用状況等々
③ ②(1)の「自社の業況」についての回答
から作る「業況判断DI」((注)DI=diffusi
on index)が最も注目されている
④「業況判断DI」は「自社の業況」につき
『良い』から『悪い』と答えた企業の構成比
(%)を引き算した数値
⑤景気が良いとプラス方向に、景気が悪くな
るとマイナス方向に振れる。
⑥このため、業況判断DIを3か月ごとにつな
いでグラフ化すると、景気の波が読み取れる。
短観は3カ月に1度、日銀が全国の約1万社に
景況感や収益見通し、設備投資計画などを聞
き取る調査で、
対象が幅広く速報性も高いことから、景気の
現状や先行きを読む材料として注目されてい
るものです。
前回9月の短観では、東京五輪・パラリンピ
ックの影響等で大企業非製造業はプラス2と6
月のプラス1から小幅に上昇、
大企業製造業もプラス18と6月から4ポイント
改善しており、足元の景況感は上向いていま
したが、
3カ月後(今回の12月)の見通しを示す先行
き判断DIは大企業製造業が4ポイント悪化の
プラス14、
大企業非製造業が1ポイント上昇にとどまる
プラス3となっており、先行きの回復の足取
りは重い状況となっていました。
しかし、結果としては今回の大企業製造業は
プラス18の横ばい、大企業非製造業は7ポイ
ント上昇のプラス9と大幅上昇となっていま
す。
新型コロナの感染者数の減少に伴い、大企業
非製造業が大幅に上昇しましたが、
製造業については、上記記事にもあります資
源高や供給不足により、低い感染者数にも関
わらず、横ばいとなっています。
また、今回の日銀短観は、11月27日にWHOが
オミクロン株を公表した直後の11月29日を基
準として集計がなされており、
オミクロン株の影響の織り込みは限定的と言
えます。
また、上記記事では言及されていませんが、
3か月後の2022年3月の見通しは製造業・非製
造業ともにマイナス予想となっており、
企業はオミクロン株が無くても、資源高や供
給不足等による価格転嫁の困難性等から、先
行きに対して慎重な見方をしていると言えま
す。
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