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No.93(2021/11/12): コングロマリット・ディスカウントとは

更新日:2021年11月24日


こんにちは


大門綜合会計事務所スタッフです。


毎週金曜日、会計・財務、税務、監査、内部

統制関連の基礎やTips等をお伝えしています。

93回目の今回は、今週、経済紙面で話題となっ

たコングロマリット・ディスカウントについて

お伝えします。

今週、ニュースを見ていて「えっ!」と声に

出してしまったニュースがありました。

<東芝が事業別に3社に分割 総合電機に幕、それぞれ上場>

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC022RM0S1A101C2000000/

2021年11月8日 日経電子版

内容としては

・東芝が会社全体を主要事業ごとに3つに分

割する検討に入った

・本体とグループで手がける事業をインフラ、

デバイス、半導体メモリーに振り分けて3つ

の会社に再編成し、それぞれが上場する方針

というもの。

また、その翌日には以下のようなニュースも

ありました。

<米GE、会社3分割 航空エンジン・医療機器・電力に>

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC09CRP0Z01C21A1000000/

2021年11月9日 日経電子版

内容としては

・米ゼネラル・エレクトリック(GE)が会社

全体を航空機エンジンと医療機器、電力の3

事業に分割すると発表

・2023年に医療機器、24年に電力部門を分社

化し、本体で航空機エンジンを担う

というもの。

両社ともに3分割することになったのは偶然

かと思いますが、自社の事業を分割する方針

というのは偶然ではありません。

そもそも、東芝もGEもコングロマリットと呼

ばれる多種類の事業を営む大企業・複合企業

で、

日本においては東芝以外にも日立グループや

楽天グループ、世界においてはシーメンスや

LVMH等があります。

コングロマリットには複数事業を保有するこ

とによる相乗効果が得られるという点や、リ

スクを分散出来るというメリットがあります。

しかし、デメリットとしてはコングロマリッ

トディスカウントの発生や、巨大化し過ぎる

ことによる不効率化、ガバナンスの低下が発

生します。

今回の分割の大きな要因として挙げられるコ

ングロマリットディスカウントとはどのよう

なものなのでしょうか。

それは、複数の事業を有するが為に、例えば

半導体事業が好調(例えば+120)であって

も、

インフラ事業が不調であれば(例えば-20)、

東芝としての株価はそれほど上がらない結果

になることを言います。

(上記の数値例で見ると、本来であれば+120

-20で全体としては+100となるべきところ、

マイナスの市場評価が大きく全体としては+

80程度にしかならない、ということがあると

いうことです。)

このように、個々の事業の経営成績を全社的

な株価に適切に評価されない結果となること

が往々にしてあるのです。

実は、今回のGEのように、コングロマリット

ディスカウント解消を目的の1つとした企業

の分割は世界的には珍しくありません。

GE自体も金融事業を2015年に、輸送事業を20

19年に分割してきましたし、ダウ・デュポン

やシーメンスも分割してきました。

ところが、日本においては税制上の不利益も

あったこともあり、全くと言うほど進んでい

ませんでした。

しかし、2017年の税制改正で事業再編がしや

すくなったこともあり、

今回の東芝の分割が進めば、日本においても

コングロマリットディスカウントの解消が進

む可能性があります。

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