こんにちは
大門綜合会計事務所スタッフです。
毎週金曜日、会計・財務、税務、監査、内部
統制関連の基礎やTips等をお伝えしています。
93回目の今回は、今週、経済紙面で話題となっ
たコングロマリット・ディスカウントについて
お伝えします。
今週、ニュースを見ていて「えっ!」と声に
出してしまったニュースがありました。
<東芝が事業別に3社に分割 総合電機に幕、それぞれ上場>
2021年11月8日 日経電子版
内容としては
・東芝が会社全体を主要事業ごとに3つに分
割する検討に入った
・本体とグループで手がける事業をインフラ、
デバイス、半導体メモリーに振り分けて3つ
の会社に再編成し、それぞれが上場する方針
というもの。
また、その翌日には以下のようなニュースも
ありました。
<米GE、会社3分割 航空エンジン・医療機器・電力に>
2021年11月9日 日経電子版
内容としては
・米ゼネラル・エレクトリック(GE)が会社
全体を航空機エンジンと医療機器、電力の3
事業に分割すると発表
・2023年に医療機器、24年に電力部門を分社
化し、本体で航空機エンジンを担う
というもの。
両社ともに3分割することになったのは偶然
かと思いますが、自社の事業を分割する方針
というのは偶然ではありません。
そもそも、東芝もGEもコングロマリットと呼
ばれる多種類の事業を営む大企業・複合企業
で、
日本においては東芝以外にも日立グループや
楽天グループ、世界においてはシーメンスや
LVMH等があります。
コングロマリットには複数事業を保有するこ
とによる相乗効果が得られるという点や、リ
スクを分散出来るというメリットがあります。
しかし、デメリットとしてはコングロマリッ
トディスカウントの発生や、巨大化し過ぎる
ことによる不効率化、ガバナンスの低下が発
生します。
今回の分割の大きな要因として挙げられるコ
ングロマリットディスカウントとはどのよう
なものなのでしょうか。
それは、複数の事業を有するが為に、例えば
半導体事業が好調(例えば+120)であって
も、
インフラ事業が不調であれば(例えば-20)、
東芝としての株価はそれほど上がらない結果
になることを言います。
(上記の数値例で見ると、本来であれば+120
-20で全体としては+100となるべきところ、
マイナスの市場評価が大きく全体としては+
80程度にしかならない、ということがあると
いうことです。)
このように、個々の事業の経営成績を全社的
な株価に適切に評価されない結果となること
が往々にしてあるのです。
実は、今回のGEのように、コングロマリット
ディスカウント解消を目的の1つとした企業
の分割は世界的には珍しくありません。
GE自体も金融事業を2015年に、輸送事業を20
19年に分割してきましたし、ダウ・デュポン
やシーメンスも分割してきました。
ところが、日本においては税制上の不利益も
あったこともあり、全くと言うほど進んでい
ませんでした。
しかし、2017年の税制改正で事業再編がしや
すくなったこともあり、
今回の東芝の分割が進めば、日本においても
コングロマリットディスカウントの解消が進
む可能性があります。
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