こんにちは
大門綜合会計事務所スタッフです。
毎週金曜日、会計・財務、税務、監査、内部
統制関連の基礎やTips等をお伝えしています。
88回目の今回はM&Aにおいてなぜデュー・デ
リジェンスが必要になるのかについてお伝え
します。
M&A(企業・事業の合併や買収)において、
デュー・デリジェンスが必須ということは、
聞いたことがあると思います。
そもそも、デュー・デリジェンスとはどのよ
うなものなのでしょうか。
デュー・デリジェンスという言葉を聞いたこ
とはあっても、具体的にどのようなことをや
るのかはわからない
という方もいるでしょう。
そもそも、デュー・デリジェンスは英語の"D
ue Diligence"をそのままカタカナにしたも
ので、
Due(適切な・正当な)、Diligence(注意・
努力)の意、らしいです。
つまり「適正な注意を払って遂行される調
査」を意味するもので、 DD と呼ばれること
も多いです。
(ちなみに、私はこの英語を聞いて、日本語
訳がイメージ出来ず、
「デュー・デリジェンス」と聞くと、よく思
考が停止していました・・・)
つまりM&Aを行う前に、買収や合併対象会社
に対して調査を実施し、
対象会社に致命的な問題等が無いかどうかを
事前に確認しておくことが主目的となります。
イメージとしては、結婚前(M&A前)に探偵
を雇って(弁護士や税理士、会計士を雇っ
て)、身元調査をするようなものかもしれま
せん。
DDには対象企業に法的な問題が無いかを確認
する法務DD、財務・税務のリスクが無いかを
確認する財務DD、税務DD、
その他ビジネスDDやITDD等があります。
法務DD及び財務DD、税務DDを行うのが一般的
ですが、DDには結構費用がかかります。
それぞれ50~100万円"以上"かかるのが一般
的で、会社の規模が大きくなれば数千万円か
かる場合もあります。
また、DDは比較的タイトな日程で行われるこ
とが多いです。
なぜなら、DDは買収しようとする会社と買収
される会社との間で、買収についてある程度
合意した後に実施されるため、
時間をかければかけるほど、最終的な買収完
了時期が遅くなってしまうからです。
そのため、タイトな期間に大量の資料(一般
的な財務DDにおいては過去3年分程度)を提
出し、専門家が調査することとなります。
専門家はもちろんのこと、買収対象会社の担
当者にも相当な負荷がかかることとなります。
どうしてそこまでしてDDを行うかと言えば、
買収後に買収した会社にとんでもないリスク
があったら困るからです。
(結婚相手に内緒の多額の借金があったら困
るのと同じかと思います。事前に知っていて
結婚するのとは大違いです。)
DDが不十分だったことによるM&Aの失敗は意
外に多くあります。
・海外の医薬品会社を買収したが、当該医薬
品会社が管理体制の問題を抱えており、メイ
ンの市場のアメリカへの販売が出来なかった
事例(第一三共)
・買収した会社の子会社の不正会計が発覚し、
子会社が破産した事例(LIXIL)
・DD手続を実施してみたら、そもそも買収対
象会社が会社として設立されていなかった例
もあります(海外の事例)
特に海外の企業をM&Aする時にはリスクは非
常に高まると言えるでしょう。
このように、M&Aは一般的に多額の金額を使
って事業や企業を買収することとなるため、
事前の調査を十分に実施し、M&A後に想定外
の事態が起こらないようにすることが非常に
重要となるのです。
Comments