No.263(2026/07/17):非上場株式の評価ルール見直しと事業承継への影響および備え
- DAIMON STAFF
- 7月17日
- 読了時間: 4分

こんにちは
大門綜合会計事務所スタッフです。
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第261回の今回はProfession Journalより非上場株式の評価ルール見直しと事業承継への影響および備えについてご紹介します。
自社の株式が相続や贈与の際にどう評価されるか、会社を経営されているオーナー経営者の方にとって、これは長期的な事業承継コストに直結する重要なテーマです。そのルールが今、大きな見直しを迎えようとしています。
令和8年7月3日、国税庁は「取引相場のない株式の評価に関する有識者会議」の第4回会合を開催し、改正の具体的な方向性を示しました。この動向は、後継者への株式移転を検討されている経営者・オーナーの方々にとって、早めに把握しておく価値のある情報です。
そもそも、非上場株式(証券取引所に上場していない会社の株式)の評価とは何でしょうか。相続や贈与の際、株式に対して相続税・贈与税がかかりますが、上場株式と違って市場価格がないため、国税庁の定めるルール(財産評価基本通達)に従って評価額を計算します。会社の規模や業種に応じて「類似業種比準方式」「純資産価額方式」といった方法が使われ、その計算結果が税負担の基礎となります。
これまで一部では、合法的な手続きを組み合わせることで、この評価額を大幅に引き下げる手法(いわゆる「評価額圧縮スキーム」)が活用されてきました。今回の有識者会議では、こうした手法の具体的な事例が8つ示され、どの程度評価額が下がるかが数値とともに公開されています。国税庁はこの問題への対応を改正の柱の一つと明確に位置づけており、税負担の格差を是正する方向で制度の整備が進む見込みです。
改正でとくに注目されるのは、評価の考え方そのものが変わりうる点です。これまでは相続税・贈与税向けの独自ルールで評価していましたが、今後は「会社法における株式の評価」や「M&A(企業の合併・買収)の実務で使われる企業価値算定の手法」を参考にしていく方向性が示されています。つまり、実際の売買や事業承継の現場で取引される価格に近い水準を「時価」として評価しようという考え方です。
この方向性が実現すれば、現行の通達ルールで計算した評価額より高い水準になるケースが増える可能性があります。事業承継時の税負担が現在より重くなる場面も出てくるかもしれません。
ただし、今回の改正は単純な増税ではなく、制度全体の整合性を取り直す動きとして理解することが大切です。評価方法の見直しと同時に、「事業承継税制」(一定の要件を満たすことで、株式の相続税・贈与税が猶予または免除される制度)の恒久化・拡充も一体で議論されています。評価水準が上がっても、それを支える優遇制度が充実するという方向で設計される可能性があります。
スケジュールとしては、令和9年度の税制改正大綱で具体的な方向性が定まり、令和9年中に評価方法の詳細が確定、令和10年以降の相続・遺贈・贈与から新ルールが適用されることが見込まれています。まだ数年の猶予があるように感じられるかもしれませんが、事業承継の準備は数年がかりで進めるものです。特に後継者への段階的な株式移転や持株会社の活用を進めている場合には、改正前後のタイミングが重要な意味を持つことがあります。
では、経営者・財務担当の方がいまできる備えとは何でしょうか。
まずは、現行ルールのもとで自社株式がどのくらいの評価額になるかを正確に把握しておくことが第一歩です。その数字を起点に、改正後の評価水準がどの程度になりそうかを専門家と一緒にシミュレーションしておくと、将来の承継計画を修正する際に役立ちます。
次に、贈与や売買で株式を段階的に移転することを検討されている場合、改正前後のどのタイミングで動くかが税負担の大きな分かれ目になり得ます。また、事業承継税制の活用可能性についても、改正後の制度拡充を前提にあらためて検討する余地があります。
非上場株式の評価改正は、制度が確定してから慌てて動くには不向きなテーマです。改正の詳細はまだ決まっていませんが、動向を継続的に把握し、自社の状況に合わせた準備を少しずつ進めていただくことで、いざ制度が変わっても落ち着いて対応できる状態を作ることができるかと思います。
【参考記事(Profession Journal)】
それでは、今日はこの辺で。
良い週末をお過ごしください。




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