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No.257(2026/06/05):役員賞与の損金算入と事前確定届出給与の期限管理リスク

更新日:6月12日


こんにちは


大門綜合会計事務所スタッフです。



毎週金曜日、会計・財務、税務、監査、内部統制関連の基礎・Tips等をお伝えしています。

(このコラムは大門綜合会計事務所スタッフによるメールマガジンの転載となります。

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第221回の今回はProfession Journalより役員賞与の損金算入と事前確定届出給与の期限管理リスクについてご紹介します。


役員報酬や役員賞与の扱いは、業績が伸びてきた会社ほど判断に迷う場面が増えてきます。最近公表された専門誌の記事に、ある会社が役員賞与をうまく経費に落とせず、思わぬ追加の税負担を抱えてしまった事例が紹介されていました。


これは決して特別な失敗談ではなく、成長中の中小企業やスタートアップであれば、どこでも起こりうる話です。今回は、この事例を経営者や経理のみなさまの目線に置き換えて、どこに落とし穴があり、何に気をつけておけばよいのかを整理してみます。



まず前提として、役員に対する給与の税務上の扱いは、一般の従業員とは大きく異なります。従業員のボーナスは、原則としてそのまま会社の経費(損金といいます。法人税を計算するうえで利益から差し引ける費用のことです)になります。


ところが役員へのボーナス、いわゆる役員賞与は、何もしないと経費として認められません。利益から差し引けないということは、その分だけ会社の利益が大きく計算され、法人税などの負担が増えてしまう、という意味になります。


役員賞与を経費にするためには、いくつかの決められた方法のいずれかを満たす必要があります。その代表が「事前確定届出給与」と呼ばれる仕組みです。



事前確定届出給与とは、ごく簡単にいえば「どの役員に、いくらを、いつ支払うか」を事前に税務署へ届け出ておく制度です。あらかじめ約束したとおりに支払うことを条件に、その賞与を経費として認めましょう、という考え方になっています。


ポイントは、この届出に期限があることです。原則として、株主総会などで役員賞与を決議した日から一か月以内、または事業年度が始まってから四か月以内のいずれか早い日までに提出しなければなりません。


この期限を一日でも過ぎてしまうと、たとえきちんと賞与を支払っていても、経費として認められません。後から「うっかりしていました」と言っても取り返しがつかない、いわば一発勝負の手続きなのです。



先ほどの事例で何が起きたのかというと、会社は役員賞与を支給することを決め、株主総会や取締役会で正式に決議し、その議事録も顧問の会計事務所に渡していました。


ところが、肝心の届出書が提出されないまま支給が行われ、後の税務調査で「届出がないので経費にできません」と指摘されてしまいました。結果として、会社は予定していなかった法人税の追加納付を求められることになったのです。


会社側は「届出が必要だなんて知らなかった」と言い、事務所側は「事前に相談がなかった」と言う。どちらの言い分にも一理ありますが、損をしたのは会社であり、しかも信頼関係まで壊れてしまったところに、この問題の根深さがあります。



ここから、企業として学んでおきたいことが見えてきます。


一つ目は、役員賞与には特別なルールがあると、経営者と経理担当者の双方が知っておくことです。従業員のボーナスと同じ感覚で「業績がよかったから役員にも出そう」と決めてしまうと、税務上は経費にならず、思わぬ税負担が生じる恐れがあります。役員への賞与を検討し始めた段階で、まず「これは特別な手続きが要る話だ」と立ち止まる習慣が大切です。


二つ目は、決めてから動くのではなく、決める前に相談することです。役員賞与は決議のタイミングから期限のカウントが始まりますので、支給を「決めた後」に税理士へ伝えたのでは、すでに手遅れになっていることもあります。賞与を出すかどうか検討している段階、つまり構想の時点で一声かけておけば、必要な手続きや期限を逆算して準備を進められます。



三つ目は、社内の情報を顧問の専門家と早めに共有しておくことです。この事例では、議事録は渡っていたものの、決議の中身までは十分に伝わっていませんでした。


書類を「渡す」ことと、要点を「伝える」ことは別物です。役員報酬の改定、新たな賞与の支給、設備投資、組織再編といった大きな意思決定は、税務に直結することが少なくありません。取締役会や株主総会でこうした議題を扱う際には、議事録を送るだけで終わらせず、「今度こういうことを決める予定です」と一言添えておくと、事故をかなり防げます。


四つ目は、届出や申請が必要な制度は役員賞与だけではない、という視点を持っておくことです。税務には、事前に届け出ておかなければ有利な扱いを受けられない仕組みが数多くあります。「届け出さえあれば受けられたのに、間に合わなかった」という取りこぼしは、会社にとって純粋な損失になります。



最後に、こうした仕組みを「専門家に任せておけば安心」と考えすぎないことも、実は会社を守ることにつながります。


顧問の税理士はもちろん力になってくれますが、社内で何を決めようとしているのかを最もよく知っているのは、経営者であり経理のみなさまご自身です。会社側が早めに状況を共有し、専門家がそれを受けて手続きを整える。この両輪がそろってはじめて、余計な税負担を避けることができます。


役員賞与の支給を検討されている場合は、金額や時期を本格的に固める前に、ぜひ一度、顧問の専門家に相談する場を設けてみてください。ほんの一手間が、後々の大きな出費と不要なトラブルを防いでくれます。



それでは、今日はこの辺で。

良い週末をお過ごしください。

 
 
 

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