こんにちは
大門綜合会計事務所スタッフです。
毎週金曜日、経営、会計・財務、税務、監査、内部
統制関連の基礎やTips等をお伝えしています。
(このコラムは大門綜合会計事務所スタッフによる
メールマガジンの転載となります。)
179回目の今回は、ヘッジ会計の基礎につい
て、そして特に繰延ヘッジと時価ヘッジの違
い、そしてそれぞれの具体的な会計処理の事
例についてお伝えします。
そもそもヘッジ会計とはどのようなものなの
でしょうか。
ヘッジ会計とは、企業が直面する様々なリス
ク(例:為替の変動、金利の変動など)から
身を守るための「会計の傘」のようなもので
す。
これは、企業の経済活動における不確実性を
低減するための重要な手段となっています。
ヘッジ会計には繰延ヘッジと時価ヘッジがあ
ります。
繰延ヘッジはヘッジ会計の原則として採用さ
れており、確定されていない将来の取引に関
連するキャッシュフローリスクをカバーする
ためのヘッジです。
繰延ヘッジの目的は、将来のキャッシュフ
ローの変動を安定化させることです。
これは、企業が将来の収益やキャッシュフ
ローを安定させるための重要な手段となって
います。
一方、時価ヘッジは例外的に採用されるもの
で、特定の資産や負債、または確定されてい
る未来の取引に関連するリスクをカバーする
ためのヘッジです。
時価ヘッジの目的は、ヘッジ対象の時価変動
とヘッジ手段の時価変動を相殺することです。
以下、簡単な事例を用いてご説明します。
<事例1: 為替リスクのヘッジ(繰延ヘッジ)
>
企業Aは、6ヶ月後に100万ドルの支払いを予
定しています。
この未来の取引に伴う為替リスクを考慮し、
企業Aは、このリスクを回避するために、為
替予約取引を行います。
この場合、為替予約取引のキャッシュフロー
変動と外貨建ての債務のキャッシュフロー変
動が相殺されるため、為替リスクがヘッジさ
れます。
<事例2: 有価証券の価格リスクのヘッジ(時
価ヘッジ)>
企業Bは、株式投資を行っています。
株価の変動によるリスクを考慮し、企業Bは、
株価の下落リスクを回避するために、株価先
物契約を結びます。
この場合、株価先物契約の評価損益と有価証
券の評価損益は、損益計算書上で相殺される
ため、株価のリスクがヘッジされます。
このようにヘッジ会計が企業のリスク管理に
どのように役立っているか、そしてそれぞれ
のヘッジの特性や適用事例についてなんとな
くイメージがついたのではないでしょうか。
今回はヘッジ会計についてお伝えしました。
ヘッジ会計は、企業のリスク管理の一環とし
て非常に重要な役割を果たしています。
この複雑な領域をわかりやすく伝えるのは難
しいですが、今回の説明と事例でなんとなく
でもイメージがついてもらえればと思います。
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