top of page
DAIMON STAFF

No.172(2023/7/21): コベナンツが開示される方向へ


こんにちは


大門綜合会計事務所スタッフです。


毎週金曜日、会計・財務、税務、監査、内部統制関連の基礎・Tips等をお伝えしています。

(大門綜合会計事務所への会計監査等のご依頼・料金相場・価格表等はこちらから)




今回は、金融庁が企業に対して新たにコベナ

ンツの開示要求を打ち出したことに関する記

事がありましたのでご紹介します。




<財務制限条項の開示求める 金融庁方針、有報記載など>

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO72848330Y3A710C2EE9000/

2023/7/19付日本経済新聞


引用、要約すると・・・、



・金融庁は企業に融資時の財務制限条項(コ

ベナンツ)に関する情報の開示を求める方針


・具体的な内容は企業の有価証券報告書への

記載などであるが、銀行側からは反発の声が

上がっている


・今後の焦点は、開示の範囲をどう定めるか


というもの。



コベナンツは、企業が融資や社債で資金調達

する際に課される制約です。



例えば、一般的には銀行が融資を行う際に以

下のような条件を設定することがあります。


1. 最低純資産比率の維持: 企業は一定の純

資産比率を保つことが求められます。この比

率を下回ると、銀行はコベナンツに違反した

とみなし、返済を要求することができます。


2. 利益率の制約: 企業の利益率に制限を設

けることがあります。例えば、銀行は利益率

が一定の水準を下回るとコベナンツに基づい

て返済を要求することがあります。


3. 資本支出の制約: 企業の資本支出に制約

を設けることがあります。銀行は、企業が一

定の投資計画を実施しなければならないとい

う条件を設けることがあります。


4. 借入金の限度額: 企業が借入金の限度額

を超える融資を受けることを制限される場合

もあります。銀行は、企業の借入金がある一

定の水準を超えると、追加の融資を行わない

ことを条件とすることがあります。


これらのコベナンツは、銀行が融資を行う際

に企業と合意され、契約書に明記されること

ととなります。


投資家にとっては、融資契約のコベナンツが

開示されればリスクの実態を把握しやすくな

るため、歓迎すべきこととなります。


またアメリカでは、日本の臨時報告書にあた

る書類において、融資契約とコベナンツの内

容を明らかにする必要があるため、海外の開

示内容に近づくものとなります。


その一方で、銀行は反発をしています。


銀行が反発している理由は、コベナンツの具

体的な内容を開示することで、競争上の不利

益や情報漏洩のリスクを懸念しています。


特に、他の銀行や競合企業がコベナンツの内

容を知ることで、企業に対する融資条件の優

位性を失う可能性があるため、銀行側から反

発の声が上がっているのです。


また、コベナンツの公表が必要という理由か

ら、企業に融資への抵抗感が広がりかねない

という点も反発している要因となっています。



いずれにせよ、今後企業はコベナンツの開示

を念頭においたファイナンスや企業経営が求

められることとなります。

留言


bottom of page