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No.171(2023/7/14): 不正の兆候に大きな男女差


こんにちは


大門綜合会計事務所スタッフです。


毎週金曜日、会計・財務、税務、監査、内部統制関連の基礎・Tips等をお伝えしています。

(大門綜合会計事務所への会計監査等のご依頼・料金相場・価格表等はこちらから)


171回目の今回は、不正行為について深く掘

り下げ、そのスキーム、犯行者、隠ぺい工作方

法、発見手段、兆候についてまとめられた報告

書についてご紹介します。

相変わらず、会計不正に関する報道は連日と

言って良いくらい行われています。

今年の初めに東京商工リサーチが発表した

「不適切な会計・経理の開示企業」調査結果

によると、2022年に不適切な会計・経理を開

示した上場企業は55社で、

その中でも経理や会計処理ミスなどの「誤

り」が最も多く、次いで子会社での不適切会

計処理などの「粉飾」、着服横領が続きまし

た。

<2022年度の「不適切会計」 開示は55社、56件 建設業、不動産業、運輸・情報通信業が増加>

https://www.tsr-net.co.jp/data/detail/1197615_1527.html

東京商工リサーチ

このような背景を踏まえ、ACFE(Associatio

n of Certified Fraud Examiners)が公表し

た「職業上の不正と濫用に関する国民への報

告書」をご紹介します。

この報告書は、職業上の不正行為についての

深い洞察を提供しています。

<職業上の不正と濫用に関する国民への報告書>

https://www.acfe.jp/study/download-library/

一般社団法人 日本公認不正検査士協会:ACFE JAPAN

96ページある報告書です。

報告書からは、不正行為のスキームでは、資

産の横領が最も一般的で、次いで腐敗(贈賄

やキックバック)となっています。

犯行者の大半は男性で、教育レベルは大学卒

業以上が多く、彼らの大部分は経営者または

上級管理職となっています。

不正の発見手段としては、通報や内部監査が

最も効果的で、不正の兆候としては、生活ス

タイルの変化や異常な行動が挙げられていま

す。

不正の兆候で興味深い点として、男女で不正

の兆候が大きく異なっているという点です。

男性に多い不正の兆候としては以下の3つが

上位となっています。

1位:業者/顧客との異常に親密な関係(23%)

2位:汚い手を使ってでも成績を上げようとす

る態度(13%)

3位:高圧的態度・脅し(13%)

これに対して、女性に多い不正の兆候として

1位:分不相応な生活(44%)

2位:経済的困窮(34%)

3位:近時の離婚、家庭内トラブル(13%)

なんとなく、納得する部分も多いかもしれま

せん。

報告書には男女含めた全体の兆候として「8

つの主な警告サイン」が記載されており、

85%の不正実行者は少なくとも1つはその兆

候が出ていたということです。

これらの兆候は、以前ご紹介した不正のトラ

イアングルのうちの一つである「動機」に該

当する部分が多いと思われます。

不正の実行者本人は意識をしていなくとも、

そのような兆候が表面に出てしまっているこ

とが多いということが、この報告書から読み

取れます。

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