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No.144(2022/12/9): 現物配当の会計処理


こんにちは


大門綜合会計事務所スタッフです。


毎週金曜日、経営、会計・財務、税務、監査、内部

統制関連の基礎やTips等をお伝えしています。


(このコラムは大門綜合会計事務所スタッフによる

メールマガジンの転載となります。)


144回目の今回は現物配当の会計処理につい

てお伝えします。




現物配当(現物分配とも言います)という用

語はあまり聞きなれていないという方もいら

っしゃるかもしれません。


企業運営等に携わっていたり、会社法等を勉

強したことがある方であれば、


似たような用語で現物出資という用語を知っ

ている方もいらっしゃるでしょう。


会社を設立する際や増資をする際に金銭では

なく物を出資することにより株式を取得する

方法が現物出資となります。


現物配当は現物出資の配当版で、配当を金銭

ではなく物で行うものとなります。



では、現物配当にはどのようなメリットがあ

るのでしょうか。メリットとしては以下のよ

うなものがあります。


①孫会社を子会社にする際に金銭の授受をす

る必要がない


②要件が揃っていれば孫会社を子会社にする

際に資産や負債を簿価で引き継ぐことが出来

る(適格現物配当)


③適格現物配当の場合には源泉徴収も不要で

スムーズに取引が出来る



対して、デメリットとしては株主総会の特別

決議が必要となるなど、その決定には一定の

ハードルが存在します。



現物配当が利用されるケースとしては、メリ

ットで挙げた孫会社を子会社とする場合が多

くなると言えます。


例えば、子会社が100%保有している孫会社の

株式を全て親会社に配当として分配するケー

スです。


通常、配当は金銭の分配により行われますが、

金銭の代わりに孫会社の株式を親会社に譲渡

することにより、


グループ間で金銭の授受を行うことなく、親

会社は孫会社の株式を保有することとなりま

す。


親、子、孫の関係であった3社が、親、子、

子の、親会社と子会社二つの関係へとグルー

プを再編することが出来ます。



このようなケースで現物配当を行った場合に

は以下のような会計処理がなされます。


-親会社の会計上の処理-

旧孫会社株式 XX / 子会社株式 XX


通常の金銭の配当では借方は金銭等の増加、

貸方は受取配当金等となりますが、


現物配当の場合には借方が配当として受け取

った現物(上記のケースでは旧孫会社の株

式)となり、


貸方は親会社が元々保有していた子会社株式

を減額する処理となります。


金銭の配当の場合に貸方を受取配当金とする

のは投資の成果として金銭を受け取ったため

となりますが、


孫会社の子会社化のような場合には投資の成

果ではないため、親会社の子会社への投資の

払い戻しと同様の性格と考え、親会社株式の

減額という処理になるのです。


なお、上記の会計処理はあくまで会計上の処

理となるため、税務上の処理とは異なる点に

留意が必要です。

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