こんにちは
大門綜合会計事務所スタッフです。
毎週金曜日、会計・財務、税務、監査、内部
統制関連の基礎やTips等をお伝えしています。
(このコラムは大門綜合会計事務所スタッフによる
メールマガジンの転載となります。)
125回目の今回は「完全親子会社関係におけ
る無対価での子会社同士の合併の会計処理」
についてお伝えします。
近年のM&Aは活発化しており、2019年のM&A件
数は4,088件、2020年は新型コロナウイルス
の発生により減少しましたが、
2021年のM&A件数は2020年に比べて14.7%増
加し、4,280件(レコフデータ調べ)と2019
年の4,088件を上回り、過去最多を記録しま
した。
今後は消費行動の活発化も予想され、それに
ともない2022年はM&A件数がさらに増加する
とも予想されています。
そんなM&Aにおける合併のうち、もっともシ
ンプルな完全親子会社関係における無対価で
の子会社同士の合併の会計処理についてお伝
えします。
そもそもの話ですが、完全親子会社関係とは、
100%の議決権等を保有する等、完全支配関
係にある状態を言います。
そのため、例えばAという企業に100%支配さ
れているB社と、同じくA社に100%支配されて
いるC社が合併する場合が、
上記の完全親子会社関係における子会社同士
の合併に該当します。
また、「無対価で」の意味は、合併に際して
金銭や株式等の合併の対価が支払われない場
合のことを意味します。
では、上記の例でB社が存続会社、C社が消滅
会社とした場合の会計処理はどのようになる
のでしょうか。
消滅会社であるC社は会社が消滅するため、
合併期日前日に決算を行い、資産および負債
の適正な帳簿価額を算定します(企業結合適
用指針242項等)。
一方で、存続会社であるB社においては、合
併期日前日に消滅会社C社において付された
消滅会社の個別財務諸表上の適正な帳薄価額
で計上します(企業結合適用指針243項等)
上記より、C社の財務諸表の数値をそのままB
社に合算すれば良いようにも考えられますが、
株主資本についてはそのまま合算することは
出来ません。
上記のケースのように、無対価である場合に
は、存続会社の増加すべき払込資本の内訳項
目は会社法の規定に従い、
「吸収合併消滅会社の資本金及び資本準備金
はその他資本剰余金として引き継ぎ、利益準
備金はその他利益剰余金として引き継ぐ」、
とされています企業結合適用指針437-2項)。
これは、会社法上、吸収合併存続会社が、合
併に際して株式を発行していない場合には、
資本金及び準備金を増加させることは適当で
はないと解されているからです。
以上のように、完全親子会社関係における無
対価での子会社同士の合併においては、消滅
会社の資産及び負債をそのまま引継ぎ、
資本金及び資本準備金はその他資本剰余金と
して、利益準備金はその他利益剰余金として
引き継ぐという、非常にシンプルな会計処理
となるのです。
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