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DAIMON STAFF

No.122(2022/7/1): コーポレート・ガバナンスの機能不全

更新日:2022年7月10日


こんにちは


大門綜合会計事務所スタッフです。


毎週金曜日、会計・財務、税務、監査、内部

統制関連の基礎やTips等をお伝えしています。


(このコラムは大門綜合会計事務所スタッフによる

メールマガジンの転載となります。)


122回目の今回はコーポレートガバナンスに

ついてお伝えします。




先日、以下のような記事がありました。



<「エニタイム」会長が取締役会の決定覆す異常事態  大株主として強権発動し、独自に役員提案>

2022/06/22 東洋経済ONLINE


要約すると・・・、


・24時間型ジム、エニタイムフィットネスの

国内運営会社であるFast Fitness Japanにお

いて、過半数の株式を握る現役オーナー会長

が、取締役会の決定を覆す「株主提案」に打

って出る


・現役のオーナー取締役会長であるXX氏と監

査等委員を務める取締役のXX氏が結託し、取

締役会で一度決定した会社側の提案を、資本

の論理で強引に覆そうとしている


・仮に株主提案が可決される事態となれば、

コーポレート・ガバナンス体制は機能不全と

なり、株主には多大な損失を与えかねない


というもの。



その後に、株主総会が実施され、記事で懸念

されたようにオーナー会長の株主提案は可決

されてしまいました。


この結果、機能不全が懸念される、コーポ

レート・ガバナンスとはどのようなものなの

でしょうか。



コーポレートガバナンス(Corporate Govern

ance)とは、「企業統治」と訳され、「企業

組織での不正や不祥事を防ぎ、結果として企

業価値を高めるため、


企業経営において公正な判断・運営がなされ

るよう監視・統制する仕組み」のことで、主

な目的は以下の2つとなります。


(1)不祥事を防ぐこと


(2)企業価値、少数株主を含めた株主の利益

を増やすこと




ざっくり言うと、


株主等の利害関係者の利益を最大化させるた

めに、経営陣が本当に株主のために企業経営

を進めているかを監視する仕組み


ということになります。



具体的な施策としては、


・社外取締役、社外監査役、委員会制度、執

行役員制度の導入


・違法行為や背任行為を防ぐための仕組みの

導入


・社内行動規範や倫理規定の作成、社内への

周知


・(外部独立機関への)内部通報の窓口を設

置する


等があります。




このように、コーポレート・ガバナンスの目

的は株主の利益を最大化させることであり、


経営者によって組織の業務の適正性を確保す

るために構築される内部統制とは目的が異な

ってきます。



上述の記事では、議決権の過半数超を保有す

るオーナー取締役会長が、社外役員を含む取

締役会での決定を覆す株主提案を行ったため、


資本の論理でその提案は株主総会で可決され

てしまいました。


非上場のオーナー会社であれば普通の事です

が、一般の個人投資家も出資している上場会

社においては、


このような手法はオーナー以外の株主の利益

を無視した経営がなされる恐れがあり、


コーポレート・ガバナンスの機能不全が懸念

される状況となってしまったのです。

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