No.110(2022/3/25): 時価算定基準 その2 ~「時価を把握することが極めて困難」という概念がなくなった~


こんにちは


大門綜合会計事務所スタッフです。


毎週金曜日、会計・財務、税務、監査、内部

統制関連の基礎やTips等をお伝えしています。

110回目の今回も、2021年4月1日以降に始ま

る事業年度において適用されている時価の算

定に関する会計基準(以下、時価算定基準)

についてお伝えします。

前回、以下の点についてお伝えしました。

・時価算定基準は2022年3月末に期末となる

企業のほとんどが当てはまることとなる点

・時価算定基準は上場会社や、会社法監査が

必要な大会社に適用される会計基準である点

・この基準による影響は簡潔に要点のみを挙

げると以下の3点となること

①時価にレベル1からレベル3までの概念が

導入され、どのレベルの時価を使用したのか

を開示することが必要となった

②その他有価証券の期末前1か月平均価格を

時価として使用できなくなった

③「時価を把握することが極めて困難」とい

う概念が想定されなくなった

そして、前回、上記①のレベル1からレベル

3の概念がどのようなものであるかについて

お伝えしました。

今回は②、及び③についてお伝えします。

「②その他有価証券の期末前1か月平均価格

を時価として使用できなくなった」とは、文

字通りのものとなります。

すなわち、時価算定基準が適用される前まで

は、

その他有価証券について「期末前1カ月の市

場価格の平均に基づいて算定された価額を用

いること」ができました。

しかし、時価算定基準の適用によりこの規定

は削除されました。

そのため、その他有価証券の時価評価の際に

は、期末日における時価を使用する必要があ

ります。

次に「③「時価を把握することが極めて困

難」という概念が想定されなくなった

」と言う点ですが、

時価算定基準適用前においては、非上場株式

や時価の無い債券等、

市場価格の無い金融商品については、「時価

を把握することが極めて困難」な金融商品と

され、

貸借対照表計上額は取得原価で計上するもの

とされてきました(減損を行っていない場

合)。

しかし、時価算定基準の適用により、「時価

を把握することが極めて困難」という概念が

想定されなくなりました。

そのため、時価算定基準適用前において「時

価を把握することが極めて困難」とされてい

た金融商品も

原則として時価で貸借対照表に計上する必要

があります。

ただし、実務上の便宜のため、「市場価格の

無い株式等」は除かれたため、実質的には時

価のない債券等がこの対象となると考えられ

ます。