こんにちは
大門綜合会計事務所スタッフです。
毎週金曜日、会計・財務、税務、監査、内部
統制関連の基礎やTips等をお伝えしています。
110回目の今回も、2021年4月1日以降に始ま
る事業年度において適用されている時価の算
定に関する会計基準(以下、時価算定基準)
についてお伝えします。
前回、以下の点についてお伝えしました。
・時価算定基準は2022年3月末に期末となる
企業のほとんどが当てはまることとなる点
・時価算定基準は上場会社や、会社法監査が
必要な大会社に適用される会計基準である点
・この基準による影響は簡潔に要点のみを挙
げると以下の3点となること
①時価にレベル1からレベル3までの概念が
導入され、どのレベルの時価を使用したのか
を開示することが必要となった
②その他有価証券の期末前1か月平均価格を
時価として使用できなくなった
③「時価を把握することが極めて困難」とい
う概念が想定されなくなった
そして、前回、上記①のレベル1からレベル
3の概念がどのようなものであるかについて
お伝えしました。
今回は②、及び③についてお伝えします。
「②その他有価証券の期末前1か月平均価格
を時価として使用できなくなった」とは、文
字通りのものとなります。
すなわち、時価算定基準が適用される前まで
は、
その他有価証券について「期末前1カ月の市
場価格の平均に基づいて算定された価額を用
いること」ができました。
しかし、時価算定基準の適用によりこの規定
は削除されました。
そのため、その他有価証券の時価評価の際に
は、期末日における時価を使用する必要があ
ります。
次に「③「時価を把握することが極めて困
難」という概念が想定されなくなった
」と言う点ですが、
時価算定基準適用前においては、非上場株式
や時価の無い債券等、
市場価格の無い金融商品については、「時価
を把握することが極めて困難」な金融商品と
され、
貸借対照表計上額は取得原価で計上するもの
とされてきました(減損を行っていない場
合)。
しかし、時価算定基準の適用により、「時価
を把握することが極めて困難」という概念が
想定されなくなりました。
そのため、時価算定基準適用前において「時
価を把握することが極めて困難」とされてい
た金融商品も
原則として時価で貸借対照表に計上する必要
があります。
ただし、実務上の便宜のため、「市場価格の
無い株式等」は除かれたため、実質的には時
価のない債券等がこの対象となると考えられ
ます。
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