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No.109(2022/3/18): 時価算定基準 その1 ~インプットのレベル~

更新日:2022年4月30日


こんにちは


大門綜合会計事務所スタッフです。


毎週金曜日、会計・財務、税務、監査、内部

統制関連の基礎やTips等をお伝えしています。


109回目の今回は、2021年4月1日以降に始ま

る事業年度において適用される時価の算定に

関する会計基準についてお伝えします。

2021年4月1日以降に始まる事業年度から適用

されるため、2022年3月末に期末となる企業

のほとんどが当てはまることとなります。

もちろん、この会計基準は上場会社や、会社

法監査が必要な大会社に適用される会計基準

となります。

では、この時価の算定に関する会計基準(以

下、「時価算定基準」とします)とはどのよ

うな基準なのでしょうか。

この基準による影響について、簡潔に要点の

みを挙げますと、以下の事項となります。

①時価にレベル1からレベル3までの概念が

導入され、どのレベルの時価を使用したのか

を開示することが必要となった

②その他有価証券の期末前1か月平均価格を

時価として使用できなくなった

③「時価を把握することが極めて困難」とい

う概念が想定されなくなった

以下、上記の点について簡単に解説します。

そもそも、日本の金融商品会計基準等におい

て、時価(公正な評価額)の算定が求められ

ていますが、

これまで算定方法に関する詳細なガイダンス

は定められていませんでした。

そのため、主に金融商品の時価に関するガイ

ダンスの国際的な会計基準との整合性を図る

ことを目的として、時価算定基準が作成され

ました。

すなわち、金融商品を時価評価する際や、注

記として時価を注記する場合の時価の算定方

法についてのガイダンスとなります。

では、上述の①から見ていきましょう。

①時価にレベル1からレベル3までの概念が

導入され、どのレベルの時価を使用したのか

を開示することが必要となった

こちら、今までは有価証券を取引所の市場価

格を使用して時価評価したり、

注記における借入金の時価として、将来キャ

ッシュフローの割引現在価値を時価とするな

ど、

各種の時価の算定方法が存在してきました。

当該時価については、金融商品の時価等の注

記において、どのように算定したかを記載は

していましたが、

今回の時価算定基準のようなレベルについて

の言及はこれまでありませんでした。

それが、今回の時価算定基準においては、

レベル1:時価の算定日において、企業が入手

出来る活発な市場における同一の資産または

負債に関する相場価格であり、調整されてい

ないもの

レベル2:資産または負債について、直接ま

たは間接的に観察可能なインプットのうち、

レベル1以外のもの

レベル3:資産または負債について観察でき

ないもの

という時価の算定に使用した数値(インプッ

ト)にレベル分けがなされました。

上記のレベルについて、具体的な例をあげる

と以下のようなものとなります。

レベル1:上場会社の株価をそのまま(調整せ

ずに)使用して算定

レベル2:上場会社の株価を調整して使用して

算定

レベル3:一般的には観察できない、企業の

予算等の将来CFから現在価値を割引計算して

算定

このように、企業が時価を算定して評価等を

行った際に、どのようにして算定されたのか

の比較を簡単に行うにする

というのが時価算定基準の趣旨の一つとなっ

ています。

次回、②以降についてお伝えします。



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