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No.105(2022/2/18): 資本準備金があるとどんな効果があるか?


こんにちは


大門綜合会計事務所スタッフです。


毎週金曜日、会計・財務、税務、監査、内部

統制関連の基礎やTips等をお伝えしています。

105回目の今回は資本準備金の存在意義につ

いてお伝えします。

資本準備金と聞いて何を思い浮かべますでし

ょうか?

・資本金みたいなもの

とか、

・株主が払い込んだもの

とか、

詳しい方なら

・株主からの払い込まれた出資金のうち、そ

の1/2を資本金ではなく準備金とすることが

出来るもの

という事をご存知だったりするでしょう。

では、なぜ資本準備金というものが存在する

のでしょうか。

株主が払い込んだ資本金みたいなものである

のであれば、

資本金だけで良いのでは?

準備金を設定する必要はないのでは?

と思う方もいるかもしれません。

では、資本準備金が必要な理由(あると良い

理由)を以下ご説明します。

結論から申し上げると、資本準備金を計上す

るメリットは以下の点となります。

①資本金と比べて積立や取り崩しの手続きが

容易であるという点

②資本金の額を株主から払い込まれた出資受

入額より小さくすることにより、税制の優遇

措置を受けやすい点

以下、上記のメリットについてご説明します。

①資本金と比べて積立や取り崩しの手続きが

容易である

資本金や資本準備金等の株主から払い込まれ

た資金は、株主の大事なお金を会社に投資し

たものとなります。

そのため、当該資金を勝手に会社役員の遊興

費や投機等に使用されることは投資した株主

にとってあってはならないことです。

そのため、資本金を取り崩して欠損等の填補

をする場合には、厳格な手段をとる必要があ

ります。

すなわち、資本金を取り崩す場合には、原則

として株主総会特別決議が必要となり、債権

者保護手続及び登記変更も必要となります。

株主総会特別決議とは、議決権の1/2を有す

る株主が出席し、議決権の2/3以上の賛成が

必要となるため、厳格な手続です。

一方で、資本準備金の取り崩しについては株

主総会普通決議で足り、債権者保護手続も一

部省略可能で登記も不要です。

株主総会普通決議は議決権の1/2を有する株

主が出席し、議決権の1/2以上の賛成が必要

となるもので

2/3超が必要な特別決議と比較すると簡易な

ものとなっています。

②資本金の額を株主からの払い込まれた出資

受入額より小さくすることにより、税制の優

遇措置を受けやすい

こちらのメリットについては、金額によって

(1)中小企業税制の適用や(2)外形標準課税の

対象外になれること、(3)消費税の免税事業

者になることも可能になる

という点にあります。

(1)、(2)については、例えば株主からの払込

金が2億円だった場合に、全額を資本金にす

るとこちらのメリットは受けられませんが、

1億円は資本金に、残りの1億円を資本準備金

にすることにより、これらのメリットを受け

ることが出来ます。

(3)についても例えば払込金が1千800万円だ

った場合に、1/2の900万円を資本準備金とす

れば免税事業者となれるというものです。

このように、資本準備金の存在意義としては

取り崩しを比較的容易に行えることにあり、

副次的なメリットとしては、金額によっては

税制の優遇を受けられるということになりま

す。

今後会社を設立したり、増資をする際には是

非思い出して頂ければと思います。

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