こんにちは
大門綜合会計事務所スタッフです。
毎週金曜日、会計・財務、税務、監査、内部
統制関連の基礎やTips等をお伝えしています。
105回目の今回は資本準備金の存在意義につ
いてお伝えします。
資本準備金と聞いて何を思い浮かべますでし
ょうか?
・資本金みたいなもの
とか、
・株主が払い込んだもの
とか、
詳しい方なら
・株主からの払い込まれた出資金のうち、そ
の1/2を資本金ではなく準備金とすることが
出来るもの
という事をご存知だったりするでしょう。
では、なぜ資本準備金というものが存在する
のでしょうか。
株主が払い込んだ資本金みたいなものである
のであれば、
資本金だけで良いのでは?
準備金を設定する必要はないのでは?
と思う方もいるかもしれません。
では、資本準備金が必要な理由(あると良い
理由)を以下ご説明します。
結論から申し上げると、資本準備金を計上す
るメリットは以下の点となります。
①資本金と比べて積立や取り崩しの手続きが
容易であるという点
②資本金の額を株主から払い込まれた出資受
入額より小さくすることにより、税制の優遇
措置を受けやすい点
以下、上記のメリットについてご説明します。
①資本金と比べて積立や取り崩しの手続きが
容易である
資本金や資本準備金等の株主から払い込まれ
た資金は、株主の大事なお金を会社に投資し
たものとなります。
そのため、当該資金を勝手に会社役員の遊興
費や投機等に使用されることは投資した株主
にとってあってはならないことです。
そのため、資本金を取り崩して欠損等の填補
をする場合には、厳格な手段をとる必要があ
ります。
すなわち、資本金を取り崩す場合には、原則
として株主総会特別決議が必要となり、債権
者保護手続及び登記変更も必要となります。
株主総会特別決議とは、議決権の1/2を有す
る株主が出席し、議決権の2/3以上の賛成が
必要となるため、厳格な手続です。
一方で、資本準備金の取り崩しについては株
主総会普通決議で足り、債権者保護手続も一
部省略可能で登記も不要です。
株主総会普通決議は議決権の1/2を有する株
主が出席し、議決権の1/2以上の賛成が必要
となるもので
2/3超が必要な特別決議と比較すると簡易な
ものとなっています。
②資本金の額を株主からの払い込まれた出資
受入額より小さくすることにより、税制の優
遇措置を受けやすい
こちらのメリットについては、金額によって
は
(1)中小企業税制の適用や(2)外形標準課税の
対象外になれること、(3)消費税の免税事業
者になることも可能になる
という点にあります。
(1)、(2)については、例えば株主からの払込
金が2億円だった場合に、全額を資本金にす
るとこちらのメリットは受けられませんが、
1億円は資本金に、残りの1億円を資本準備金
にすることにより、これらのメリットを受け
ることが出来ます。
(3)についても例えば払込金が1千800万円だ
った場合に、1/2の900万円を資本準備金とす
れば免税事業者となれるというものです。
このように、資本準備金の存在意義としては
取り崩しを比較的容易に行えることにあり、
副次的なメリットとしては、金額によっては
税制の優遇を受けられるということになりま
す。
今後会社を設立したり、増資をする際には是
非思い出して頂ければと思います。
Kommentare