こんにちは
大門綜合会計事務所スタッフです。
毎週金曜日、会計・財務、税務、監査、内部
統制関連の基礎やTips等をお伝えしています。
104回目の今回は前々回の102回目でお伝えし
た企業不正の続報が出ておりますのでお伝え
します。
前々回の102回目で、上場会社にも関わらず
売上の半分以上が架空売上であったことが判
明した会社についてお伝えしました。
その際には、特別調査委員会調査の途中経過
について少し触れましたが、先月27日に調査
報告書が提出されました。
<特別調査委員会の調査報告書受領に関するお知らせ>
2022年1月27日 日経会社情報DIGITAL
134ページにも及ぶ報告書です。
売上の半分以上が架空売上という不正の内容
についても衝撃的でしたが、特別調査委員会
の報告書の内容もなかなか衝撃的です。
簡単に、不正までの流れを記載すると以下の
ような形となります。
・経営幹部は機関投資家からの投資を呼び込
むために、会社の成長率を「前年比20~30
%」である旨、機関投資家へ毎年説明
・成長率30%を切ると機関投資家からの投資
が呼び込めないと考えていた
・その結果、現状を無視し、機関投資家への
説明に合わせるための過大な売上目標を設定
・営業部員からの目標売上の報告が全体の目
標数値に届かないと、部員は取締役から強い
叱責を受けた
・毎週月曜日に行われる営業会議では、数字
が足りない部員に取締役から厳しい叱責・追
求が行われ、営業会議は営業部員を「詰める
場」と化していた
というもの・・・。
要は、投資家からの投資を呼び込み、自社の
株価を上げること目的とした経営陣が、
営業部員に対して毎週月曜日にパワハラまが
いの叱責・追及を日常的に行っていた
という事です。
その結果、2016年3月期から期をまたぐ売上
の前倒しが始まり、すぐに前倒ししても売上
目標の達成が困難になり、
経営陣が関与する大規模な架空売上の計上が
始まりました。
前回、架空売上分の入金を役員の自らの資金
で入金していた、とお伝えしました。
これらの資金は、架空売上により株価を釣り
上げ、釣り上がった後に、
役員に発行された新株予約権の行使で得た株
式を高値でで売却することで得た資金だった
という事です。
外部から財務情報をチェックする会計監査人
に対しても、架空の顧客の本店とした都市や
地方にまで赴き、
当該地域の支店から送金手続きをしていたほ
か、顧客担当者のメールアドレスの偽造まで
行っていたようです。
今回、当該不正の首謀者と思われる元会長が
急逝したことにより、不正が発覚したようで
すが、
上記の架空売上は、手口が手口だけに遅かれ
早かれ発覚していたことでしょう。
今回の不正発覚により、一時期一株4,200円
まで釣り上がった株価は16円まで下がり、今
月末には上場廃止となる見込みです。
日本で最も最上位である東証一部に上場して
いる企業ですが、内部は上場会社とは思えな
いような状況であり、
投資家や日本の株式市場の信用を大きく低下
させる不正となってしまいました。
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