製品を出荷したのに売上計上出来ない場合

更新日:2021年7月18日

こんにちは


大門綜合会計事務所スタッフです。


毎週金曜日、会計・財務、税務、監査、内部統制関連のTips等をお伝えしています。

58回目の今回も、いよいよ強制適用が目前に

迫った新収益認識基準についてお伝えします。

以前もお伝えした通り、新収益認識基準は20

21年4月以降、上場会社で強制適用になりま

す。

今回も当該基準の中でも実務上、論点となり

やすい点をお伝えします。

2020年3月13日のブログで以下の点をお伝

えしました。

・新しい収益認識基準が作成され、2021年4

月以降に始まる事業年度において、上場会社

で強制適用となること

・今後は非上場の会社でも適用されることが

予想されること

・新収益認識基準は

①契約の識別

②履行義務の識別

③取引価格の算定

④履行義務の取引価格への配分

⑤履行義務の充足による収益の認識

の5つのステップで収益を認識するというこ

今回は実務上論点となりやすい点の一つとし

て⑤履行義務の充足による収益の認識につい

ての典型論点をお伝えします。

以下のような事例を考えてみてください。

12月決算であるA社は、B社(顧客)に製品X

を1,000千円で販売する契約を締結しました。

A社は製品Xを契約どおりに、運送会社を使用

して出荷しました。

さて、A社は売上をいくら計上することが出

来るでしょうか?

当然ながら、売上は1,000千円ですよね。

これについては、「通常は」現在の会計基準

でも新収益認識基準でも同様です。

「通常は」と記載したのは、異なる場合があ

るからです。

例えば以下のような場合はどうでしょう?

上記の設例でA社は東京に、B社は北海道にあ

り、A社は製品Xを出荷したのが2021年12月31

日だった場合・・・、

売上1,000千円を2021年12月期に計上できる

でしょうか?

新収益認識基準に従うと、計上出来ない可能

性が高くなってしまいます。

新収益認識基準では、

「資産に対する支配を顧客に移転することに

より当該履行義務が充足される時に、収益を

認識」する(会計基準第39 項)

と規定されています。

この「資産に対する支配を顧客に移転するこ

とにより当該履行義務が充足される時」とは

どのような時なのでしょうか。

基準には以下の5つの指標を考慮して判断す

る、と明記されています。

①対価を受け取る現在の権利

②法的所有権

③物理的占有

④リスクと経済価値

⑤資産の検収

字面だけみるとわかりづらい指標ですが、簡

単に言うと以下のような感じです。

①A社が売上金として1,000千円を受け取る権

利を有していること

②製品Xの法的所有権がB社にあること

③B社が製品Xを物理的に占有していること

④製品Xを使用した際のリスクやリターンがB

社に移転していること

⑤B社が製品Xを検収したこと

これらを満たした時に売上計上できるという

ことなのですが、上記の事例に当てはめると、

やはり売上計上は難しそうですよね。

12月期に売上を計上するには、東京のA社か

ら北海道のB社に製品Xが到着し、

B社が製品Xの検収を行った結果、A社に検収

書を発行した時点において、上記の①~⑤を

満たすことになると考えられるためです。

このように、新収益認識基準においては、商

品を発送しただけではなく、

商品に対する支配が顧客に移転したことをも

って売上を計上するという点に注意が必要と

なります。




#企業会計